劇団四季

 

『サウンド・オブ・ミュージック』3人のマリア座談会 江畑晶慧×鳥原ゆきみ×平田愛咲

現在、四季劇場[秋](東京・浜松町)で上演中のミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』では、本公演から鳥原ゆきみ平田愛咲の2人の新マリアがデビュー!先輩マリア・江畑晶慧とのトリプルキャストとなっています。

それぞれが描くマリア像とは? 本作品の魅力とは?
個性豊かな3人が一同に会したスペシャルインタビューをお楽しみください!

純粋だけど繊細な“本当のマリア”との出会い

江畑:2人とも今回がデビュー公演。初々しいな~。キャスティングされた時は、どんな思いだった?

平田:まさか私がマリアを演じるなんて想像がつかなくて、びっくりです。『サウンド・オブ・ミュージック』は昔から大好きな作品でしたが、当時は子どもなので、子役やリーズルに憧れていたんですね。でも、演じる機会がないまま大人になってしまい、残念に思っていた所で、ある日マリア役のお話をいただいて、もう現実味がなくて……。稽古に入って、舞台に立って、日を追うごとに、その重さをひしひしと感じているところです。

俳優写真

写真左から、鳥原ゆきみ江畑晶慧平田愛咲

江畑:私も最初はリーズルやりたかった! 女の子なら、みんな一度は通る道だね(笑)。でも、そういう憧れとは別の次元で、マリアを演じるって想像以上に“重い"。
私はマリアに選ばれた時、これまで演じてきたどの役とも色が違う、俳優人生のターニングポイントになる役に出会えたと思ったのね。特に、当時はずっと『ウィキッド』でエルファバを演じていたから、闇に生きる人から太陽のような人になるんだって。それこそ平田さんと同じように小さい頃の憧れのまま稽古に入って、すぐ壁にぶち当たった。「ここまで深いんだ!」って思い知らされた。

演出家からは「映画は忘れなさい。まったく違うのだから」と言われ、先輩からは「軽い」と言われた。マリアの太陽のようなあたたかさは、単純な明るさではなくて、孤独の中で常に自分の居場所を探している、そんな繊細な心と表裏一体なんだと気づかされたの。
自然の中にいる時だけ自分らしくいられる、歌を歌う時だけ自分らしくいられる、誰かを愛する時だけ自分らしくいられる――そういう繊細で重くて深い部分まできちんと表現しないといけないと分かって、初めて本当のマリアと向き合えたんだと思う。
その点、鳥ちゃんは稽古からデビューまでが長かったから、心の準備はできていたんじゃない?

鳥原:前々から稽古はしていて、マリアとしてやるべきことの大きさが分かっていたから、嬉しいというより、使命感をもって“腹をくくる"という感じかな。「やったー!」じゃなくて「さて、これから山を登り始めるぞ!」って心境。作品としては、すごくオーソドックスな魅力に溢れていて、実話をベースにしたあくまで人間が中心のドラマ。でもその分、衣裳や舞台装置に助けてもらうなんて甘えが許されない、俳優にとってはシビアな舞台だよ。

マリアはひと言で言えば「北風と太陽」の太陽のような存在で、非常に健康的な思想の持ち主。だからこそ、周囲も影響されて本当の自分を取り戻していくのだけれど、一方でマリア自身も繊細で孤独な心を抱えている。そんな彼女が少女から母へと成長していく物語を演じるって、並大抵のことじゃない。

江畑:「ドレミの歌」ひとつとっても、観る側からすると心躍る楽しいナンバーでしょ。でも、実際に子どもたちと真剣に交流しながら歌うと、舞台袖で倒れ込むくらいエネルギーがいるんだよね。
ぜえぜえ息を切らしながら、「これを楽しく見せていた先輩方は、なんて凄いんだ!」って思ったもん。

「『サウンド・オブ・ミュージック』の世界に生きる」

平田:本当に難しくて、いまだに無我夢中です。
今、こうして舞台に立ちながら、ようやく自分なりにマリアを掴めかけている気がしています。ひとつ言える確かなことは、マリアを演じていると「私ってこんなに歌が好きだったんだ!」と改めて思えること。もともと歌が好きで好きでたまらなくて舞台の世界に入ったのに、もっと好きになれる。歌を通じてこんなにも深く人と分かり合える、通じ合えることを、マリアが私に教えてくれているような気がします。

俳優写真

江畑:そうだよね。マリアは世間の不純物とは程遠い自然の中の少女から始まり、第二次大戦下という過酷な時代に恋愛をして、母になっていく。その彼女のリアリティに寄り添うことなく、現代の自分に引き寄せたり、イメージに捉われていると、作品からかけ離れていってしまう。
一番大切なのは「『サウンド・オブ・ミュージック』の世界の中に“居る”こと」。そこに居ることができれば、後は台本が運んでくれるから。逆に、本当の意味で居ることができなければ、どんなに取り繕って工夫しても、マリアとして生きられないんじゃないかな。

平田:そうですね。心掛けてはいるのですが、まだまだです。特に大佐との恋愛は、年齢差や子どもの存在などがあって、これまで演じてきたどの恋愛とも違うので、戸惑う部分があります。

鳥原:分かる! 平田さんも『美女と野獣』のベルからマリアだけど、『美女と野獣』の恋愛モードでいくとキラキラし過ぎちゃうんだよね。「もうちょっと抑えて」って言われちゃう(笑)。
あと、私の場合は“M2の壁”を乗り越えることが課題かな。幕開けがシスターの「朝の祈り」から始まって、2曲目がいきなり大ナンバーの「サウンド・オブ・ミュージック」(※2曲目のナンバー=M2)。もう、すっごく緊張するでしょ。「マリアは歌が好きで、山が好きでここにいるのに、どうして私は紗幕の後ろでこんなにも震えているの?」って自問自答しても震えは止まらない。でもこの壁を乗り越えたら、もっと何か変わってくると思う。

江畑:『サウンド・オブ・ミュージック』の世界に居ることが大切だけど、その代わり「マリアはこうじゃなきゃいけない!」って型もないから、2人が演じるマリアがどうなっていくのか、私も楽しみだよ。みんな個性があって、鳥ちゃんだから輝く場面、平田さんだから輝く場面がある。その姿がどんな言葉よりも刺激的で、自分の演技にも良い影響を与えてくれると思う。

鳥原:マリア役は本当に懐が広いというか、演技の自由度が高くて、素晴らしくやりがいのある役だよね。もちろん難しいけれど、それ以上に舞台に立つ度に「どう生きようか?」ってワクワクするよ。

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