劇団四季

ストーリー Story

1950年代後半、ニューヨーク。
移民や低所得者たちの町・ウエストサイドでは、貧困と差別の中、若者たちが縄張り争いに明け暮れる荒廃した日々を送っていた。
自分たちの境遇と、自分たちを追い込んだアメリカ社会へ強い反発を感じながらも、若者たちは抑えようのない苛立ちを、非行や暴力という形でぶつける他なかった。

物語は、そんな彼らの鬱屈したエネルギーが発火点に達した瞬間から始まる。

欧州系移民の若者で構成されるギャング「ジェット団」のリーダー・リフは、果てのない争いに終止符を打とうと、ついにプエルトリコ系移民のギャング「シャーク団」に決闘を申し込む決意をする。

命運を賭ける舞台は、中立地帯であるダンスパーティー会場。
リフは、そこに立会人としてかつての盟友・トニーを呼び出す。
トニーは、今ではギャングから足を洗い、ドラッグストアで実直に働きながら将来に夢を馳せる青年であった。

一方、シャーク団のリーダー・ベルナルドは、腹心のチノと結婚させるため、プエルトリコから妹のマリアを呼び寄せたばかりだった。
兄の思惑を知らないマリアは、アメリカで初めて経験するダンスパーティーに心を躍らせる。

そして、迎えた当日。

会場は、2つのギャングが異なるダンススタイルで挑発し合い、火花を散らす緊迫した空気に包まれていた。
そんな中、一目で恋に落ちてしまうトニーとマリア。
互いを求め合う男女に、憎しみや抗争など、もはや関係はなかった。

しかし、なんという皮肉な運命か。2人の恋に感づいたベルナルドが間に割って入ると、それを契機にリフが決闘を申し込んでしまう。
トニーとマリアの純粋な恋が、若者たちの抗争をもはや後戻りの出来ない局面へと導いてしまうのだった。

その夜、マリアを求めて夜の街を疾走するトニー。
自分を求めるトニーの心の叫びを耳にしたマリア。
2人は、伝説の恋人“ロミオとジュリエット”のように再び愛を確かめ合う。
そして翌日、お互いの大切な人間同士が殺し合うのを止めるため、トニーは決闘の場であるハイウェイ下へと急ぐ。

しかし、トニーがたどり着いたときには、すでに決闘の火ぶたは切られていた。
ギャングのメンバーたちの怒号が飛び交う中、羽交い締めにされたトニーの必死の叫びはかき消される。

一進一退の攻防を繰り広げるリフとベルナルド。
だが、周囲を振り切ったトニーが間に入り、リフが一瞬の隙を見せた瞬間!
ベルナルドのナイフが鋭くリフの体をえぐった。
そして、目の前の親友の死に逆上したトニーは、そのままナイフを手に取り、その刃をマリアの兄・ベルナルドへと向けるのだった…

なぜ美しい恋が、悲劇の始まりとならねばならないのか?
トニーとマリアは、社会の底辺に生きる若者の悲しい運命を乗り越えることができるのか?

物語は、吹きすさぶ嵐のように加速度的に勢いを増し、クライマックスを迎える。

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