劇団四季

西日本新聞 「わたしのコーラスライン」 (中)

【熊本 亜記さん】 初心を忘れず歌い、踊る

「コーラスライン」の劇中、舞台に立つダンサーを選ぶ演出家ザックは、最終候補者たちにこう問い掛ける。「ダンスを始めたのは、いつからかな」
「幼稚園のころ、バレエを習ったのが最初でした」。
ディアナ役の熊本亜記さん=福岡市出身=が振り返る。「近所の友達が通っていたので、なんとなく―。バレリーナになろうなんて、思ってもいませんでした」
そんな熊本さんが、舞台を意識したのは短大のころ。中学、高校とカラーガード隊のフラッグ演技で活躍したのがきっかけで、ミュージカルへの道を周囲から進められた。「見るだけと思い込んでいたミュージカルが、見せる仕事でもあると気付いたとき、挑戦の思いが芽生えました」
道のりは険しかった。最初に挑んだ劇団四季のオーディションは、書類選考で落選。2度目は最終選考まで進んだが、涙をのんだ。「一緒に行った友達は合格して―。一瞬で未来が決まる、『コーラスライン』の物語そのものです」
福岡・天神のそば店でアルバイトしながらレッスンを続けた。日々募る将来への不安。だけど夢はあきらめなかった。
そして臨んだ3度目のオーディション。「ライバルが並ぶ選考会では心臓が爆発しそう。でも音楽が鳴り始めると何もかも忘れて歌い、踊りました」。ほどなく吉報がとどいた。
「すべてを捨てて/生きた日々に/悔いはない」。熊本さんが演じるディアナが、舞台で独唱する「愛した日々に悔いはない」の一節だ。この歌に自分を重ねる。「夢見て飛び込んだ世界で、悔いは残したくない。夢がかなったときの喜びを忘れずに、全力で演じます」

(西日本新聞「わたしのコーラスライン」2010年1月15日発行 ※西日本新聞社に無断で転載することを禁じます)

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