劇団四季

笑劇の舞台の幕が上がる!――『解ってたまるか!』開幕初日レポート

2012-03-04  

3月3日(日)。雛人形にさくら餅とかわいらしいお祝いムードに街が包まれるこの日、自由劇場だけは、まったく別の空間となっていました。舞台は、夜の高級ホテルの一室。ライフルにダイナマイトで武装した殺人犯・村木明男の怒りとも悲しみともつかない咆哮が響き渡ります。そんな簡単に俺のことを――解ってたまるか!

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今年、初となるストレートプレイ『解ってたまるか!』は、人間の持つ“おかしみ”を浮かび上がらせ笑いを誘う喜劇でありながら、終幕の波乱の展開に向けた悲劇的要素もあわせ持つという、多重的な構成からなる傑作現代劇です。実際に起きた人質監禁事件「金嬉老事件」をモチーフに、評論家・劇作家である福田恆存が劇団四季のために書き下ろしたこの作品は、現代社会・現代人の歪みや矛盾を鋭く分析・批判し、1968年から40年以上を経た今もなお、新しいファンを増やし続けています。

ホテル・ハイクラスの一室“平和の砦”に、12人の人質をとって立てこもったライフル魔・村木。人殺しの子として生まれ、差別への怒りを露わにする彼の前に、警察や新聞記者、果ては同情を寄せる文化人たちが現れます。しかし、弁舌こそが武器のはずのインテリたちですら、村木の狂気を含みながらも正鵠を射た論理の前になすすべなく翻弄されていきます。果たして、誰も解ることができなかった、村木の本当の望みとは何だったのか――?

東京の街にゆっくりと夜の帳が下り始めた頃、16時半の開演に合わせてお客様が自由劇場へと集まり始め、ロビーは初日特有の華やかな賑わいに満ちていました。そして、いよいよ初日の幕が上がります。

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初日開演前、賑わう自由劇場の様子。

轟くダイナマイトの爆発音、あたかも観客が人質になったかのような緊張感。しかし、物語が進むにつれ、村木と周囲の人間たちが織り成す荒唐無稽とも思える会話が、場内に笑いを引き起こしていきます。絶え間なく訪れる緊張と弛緩の波は、まるで中毒性のある劇薬のように客席に浸透し、ぐいぐいと舞台へ引き込みながら衝撃のラストまでつき進んでいきます。
そして、結末の余韻が残るカーテンコールでは、これまでの息の詰まるような空気から一転、俳優たちに惜しみない拍手が送られました。

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カーテンコールの様子。

今は亡き“昭和最高の知性”福田恆存が、未来を生きる私たちに遺した珠玉の現代劇『解ってたまるか!』。ぜひ、劇場で知的興奮と刺激に満ちたひと時をお過ごしください。

(撮影:上原タカシ)

『解ってたまるか!』東京公演
自由劇場

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