『パリのアメリカ人』をご覧になった方々の声

息をのむダンスシーン 濱田元子さん(毎日新聞社編集編成局学芸部編集委員)毎日新聞(夕刊)
2019年1月31日掲載

古今、さまざまなミュージカルが、その楽曲やダンスで歴史に不朽の名をとどめてきた。ウイットに富むガーシュウィン兄弟の楽曲に乗せた、本作の多彩なダンスシーンも深く心に刻まれるに違いない。劇団四季が難度の高いダンスに挑み、見応えあるパフォーマンスを披露している。

戦争からの復興に若者が夢を追う姿を重ね合わせたドラマを、ダンスが言葉を超えて心情豊かに紡ぐ。すべてをバレエで表現するオープニングをはじめ、楽曲とダンスが溶け合うシーンが揺さぶる。

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カフェで意気投合したジェリー、アダム、アンリらによる「I Got Rhythm」は、なじみのあるナンバーで展開される軽快で躍動感あるダンスが、未来への希望にあふれる。3人が「愛こそすべて」と歌う「'SWonderful」も心躍る。

圧巻は2幕のラスト近く、リズが主役の座をつかんだ劇中バレエ「An American in Paris」だ。約14分間のダンスはバリエーションに富み、思わず息をのむ。なかでもリズがジェリーへの思いに素直になり、2人で踊る幻想のシーンは、恋の官能にあふれる。

[一部抜粋]

ダンスが語る 荒廃と輝き 淵上えり子さん(読売新聞社編集局文化部記者)読売新聞(朝刊)
2019年2月14日掲載

劇団四季の新作は、ガーシュイン兄弟の代表曲がちりばめられた人気ミュージカルの日本版だ。世界的に注目されている振付家、クリストファー・ウィールドンが演出・振り付けを手がけ、多彩なダンスで物語を雄弁に運ぶ。

まずは導入部に目を奪われる。一貫してハッピーな原作映画(1951年公開)とは趣を異にし、荒廃したパリの街がダンスだけで見事に表現される。アンサンブルは舞台セットのパネルを自在に操りながら躍動し、時代の空気を伝える。この暗い場面があるからこそ、ジェリー、アダム、アンリが次の場面で意気投合して歌う「I Got Rhythm」の輝かしいメロディーが効果的に響く。

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終盤のバレエ「An American in Paris」も劇的で美しい。リズが主役をつかんだバレエ公演の本番中、幻想の中でジェリーと踊る場面だ。リズ役の石橋杏実、ジェリー役の酒井大は難易度の高いリフトや複雑なステップを難なくこなし、実に伸びやか。リズがジェリーへの愛を確信していく心の変化も丁寧に見せる。

言葉を超えて動きで思いを表すウィールドン作品の美点が発揮されている。自由を愛し、芸術を賛美する作品のテーマがしっかりと伝わってきた。ボブ・クローリーの洗練された装置・衣装デザインも必見だ。

[一部抜粋]

美術とダンス 視覚の楽しみ 萩尾瞳さん(映画演劇評論家)朝日新聞(夕刊)
2019年3月4日掲載

ガーシュイン兄弟の名曲で知られる映画「巴里のアメリカ人」(1951年)を元にしたミュージカルだ。バレエ界の才人クリストファー・ウィールドンの振付・演出で紡がれる舞台は、鮮やかな美術もあいまって、視覚の楽しみにあふれている。ブロードウェーのヒット作の日本上演である。

時代背景を戦争直後に移した物語は、原作映画よりふくらみ陰影を深めている。冒頭で描かれるのは、ナチス占領時の爪痕も生々しいパリ。リズは占領下を生き延びたユダヤ人で、アダムもまた戦争で負傷したユダヤ人という設定でもある。ラブストーリーを軸にして、そこに戦争の傷からの再生物語も織り込まれるのだ。

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映像を巧みに使い、魔術のように背景を変えていく舞台美術(ボブ・クローリー)が、目を奪う。生きているような背景が街の息吹を伝え、街そのものの再生まで見えてくるよう。

いちばんの魅力は、もちろんスタイリッシュなダンスだ。クライマックスの新作バレエのシーンは、ことに美しくドラマチック。高度な技術を要するバレエを、主演コンビが見事に踊ってみせる。

[一部抜粋]

※朝日新聞社に無断で転載することを禁じます
承諾番号:19-1027

新機軸のダンス満載 瀬川昌久さん(評論家)週刊 オン★ステージ 新聞
2019年2月22日掲載

物語りは、リズを愛する三人の男性のそれぞれの生き方を、ガーシュウィンのミュージカル・ナンバー計十七曲の演奏と唄とダンスで進行する。特筆すべきは男性七人女性六人のダンスアンサンブルが卓越した振付によるパ・ド・ドゥや群舞を通じてストーリーの展開表現に参画していることだ。

ガーシュウィンの美しい耳慣れたメロディーが多くきけるのも嬉しい。男性三人が意気投合して楽しげに歌う「アイ・ゴット・リズム」と「ス・ワンダフル」。アダムとマイロが淋しさを歌う「バット・ノット・フォー・ミー」、リズがアンリへの複雑な心情を吐露する「ザ・マン・アイ・ラヴ」、マイロがジェリーに絵画展示をすすめて誘惑する「シャル・ウィー・ダンス」、全てジャズの大スタンダードで平易な歌詞で魅力的に歌われる。

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ダンスの見どころは沢山あるが、先ず一幕末の「仮面舞踏会」のモダンな洋舞、二幕始めのアンリがラジオシティの舞台を夢見てタップや華麗なステップを集団で見せるショウダンス、そしてラストの「パリのアメリカ人」をリズがジェリーと熱く踊る長いシーンなど、何れも高度の技術のリフトやパートナーリングを流れるようにバレエとジャズで融合したダンスが連続する。更に舞台の装置・美術・照明の全てが急速に入れ替り動いて、パリの再構築を印象付ける。新機軸満載の必見作品である。

[一部抜粋]

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