『アラジン』製作現場レポート

  • 第一弾
  • 第二弾
  • 日本公演の開幕まで約2ヶ月、ミュージカル『アラジン』製作チームの各セクションでは、着々とその準備が進められています。
    今回は、日本語台本、衣裳、小道具に関する進行状況をレポートします。

    日本語台本

    今回の台本製作チームは、日本版製作チーム代表の加藤敬二、ジーニー役にもキャスティングされている道口瑞之、米国留学経験をもつ田邊真也ら3名の俳優に加え、劇団制作スタッフ数名で構成。そして、大ヒット映画「アナと雪の女王」の日本語訳詞でも有名な高橋知伽江さんにもご参加いただいています。

    1月下旬—
    横浜・あざみ野の四季芸術センターにて、日本語訳詞の検討会を実施。
    メンバー全員で、その中身を一つ一つ協議。そして、高橋さんが紡がれた訳詞を歌唱メンバーとして召集された俳優たちが歌い、実際にどのように聴こえるかをチェック。朝10時から始まった検討会は、その日の夕方まで、みっちりと続きました。

    2月の頭—
    ディズニー・シアトリカル・プロダクション社長兼プロデューサーのトーマス・シューマーカー氏との台本協議。プロデューサーでもあるシューマーカー氏にとって、『アラジン』はいわば我が子のようなもの。その愛情はもちろんのこと、作品に関する知見は、大変参考になるものです。

    「このコメディには、いろいろなユーモアが含まれているが、その質は、国によって異なるだろう。ブロードウェイと同様にしなくてもよい。日本のお客様に受け入れられるものを採用してほしい」。

    「この作品には、2つのロマンスがあると思っている。1つは当然だが、アラジンとジャスミンとの愛。もう1つは、アラジンとジーニーの兄弟愛だ」。

    事前に、英訳された日本語台本を熟読されたというシューマーカー氏。そんな彼との3時間半を超える熱い熱いディスカッションに、製作チーム陣も大いに刺激を受けたようでした。

    衣裳

    2月上旬—
    衣裳の仮縫いが行われました。期間中は、四季芸術センターの稽古場のひとつが、仮縫い用の作業部屋に早変わり。作業を担当するのは、ディズニーの衣裳アソシエイトデザイナーであるスカイ・スウィッツァー氏はじめ、海外からの衣裳関係者、そして四季側のスタッフ、外部の衣裳製作会社スタッフたち。

    綿密に立てられた仮縫いスケジュールに従って、出演候補者たちが入れ替わり立ち替わり作業部屋に訪れ、朝から夜まで作業が続きました。
    この日、仮縫いにやってきたのは、アラジン役出演候補者のひとり、島村幸大。
    用意された仮の衣裳に身を包み、鏡の前に立った島村を見るなり、スカイさんは「アラジンそのものだね!」と笑顔。

    まずは、舞台冒頭の衣裳からフィッティングが始まりました。砂漠の都・アグラバーの下町に住む青年の服らしく、シンプルで動きやすそうな形です。ズボンの裾や、チュニックの襟などは安全ピンでとめ、その俳優に似合う長さや形を探りながら、体にあわせていきます。

    続いて、ランプの精・ジーニーの力で、プリンス・アリに変身した時に着る衣裳のフィッティングです。舞台中、7秒ほどで早替えしなくてはいけないところもあると聞いた島村はびっくり仰天。大きなマントをつけ、まだ試作の段階ですが既にゴージャスな帽子をかぶると、心なしか島村の表情もキリリと王子らしいものに。

    マントをひるがえしながら歩き回り、動きやすさを確かめます。仮縫い用の服は飾りのないシンプルなものですが、この服をもとに作られる本番用の衣裳では、きらびやかな刺繍が施され、ずしりと重量感のあるものになるのだそう。

    小道具

    ブロードウェイで使用している小道具の写真をもとに、四季のスタッフが忠実に再現しました。

    舞台になくてはならない小道具も、次々できあがってきています。
    今回は、アグラバーの街の市場に登場する小道具を少しだけお見せしましょう。
    華やかな『アラジン』の世界を彩るアイテムは、見ているだけで心が弾むカラフルさ。
    どのように使用される道具なのか、ぜひ実際の舞台でご確認ください!

    (会報誌「ラ・アルプ」2015年3月号より抜粋)

  • いよいよ稽古がスタート!
    開幕まであと2ヶ月—アラビアンナイトの華やかな冒険物語を届けるため、俳優にとっても舞台技術チームにとっても、冒険と挑戦の日々が続いています。

    稽古場より

    ヴォーカル稽古開始♪

    2月下旬—
    俳優たちの歌の稽古が始まりました。
    主人公アラジンとヒロイン・ジャスミンの稽古場を覗いてみましょう。
    音楽部スタッフの弾く軽快なピアノの伴奏に乗って、アラジンの陽気でパワフルな歌、ジャスミンののびやかな声が響きます。

    これまで個人練習で譜面の音を体に入れ込んできた俳優たち。音楽監督の鎮守めぐみさんが、その歌声に細やかな指導を施していきます。「音を切るときに、意志を持って切って」「今は言葉というより譜面通りの音に聞こえる。友だちのことを思って歌って。ビートを感じて」。言葉の意味と心の動きを届けられるよう、音の細部にまでめぐらせ歌い込みます。音が生き生きと、感情を帯びて多彩に膨らんでいきます。

    アラジンとジャスミンのデュエット曲といえば、大ヒットとなった「A Whole New World」が有名ですが、他にも耳に残る名曲がたくさん!「A Million Miles Away」は、ミュージカル版の新曲。出会ったばかりの2人が、心を通い合わせ、日常から離れ、はるかかなたの自由な世界を夢見るバラードソングです。もっともっと遠くへ行きたい、と2人の気持ちの階段を駆け上がっていくこの曲。アラン・メンケンさんの美しいメロディーと、チャド・ベグリンさんが作詞し、「アナと雪の女王」の訳詞も手掛けた高橋知伽江さんが紡いだ日本語歌詞が溶け合い、解放感に満ちあふれています。いちど聞くだけで、ついつい口ずさみたくなってしまうほど。

    稽古場の譜面台の前で、未来に焦がれて歌う俳優たち。そのまなざしは日常の世界を離れ、すでにそこにはアラビアンナイトの夢の舞台が広がっているようです。

    アラジンとジャスミンの恋を助ける友だち。カシーム、オマール、バブカックの3人組。舞台で息の合ったコミカルな掛け合いを繰り広げ、剣を手に取り大立ち回りを繰り広げるシーンもあります。本当の兄弟のような仲良し男子コンビネーションを産み出すべく、日々、ハーモニーを深め、心の絆も深め、熱唱が続きます。

    コンビネーションといえば、悪役のジャファー&イアーゴの2人組も、自分のパートをしっかりと歌い込みつつ、歌の掛け合い稽古も進行。野望うずまく黒い歌と悪の高笑いは必聴です!

    ジャスミンの父であるサルタンも、人の良い表情で朗々と響かせ、王の威厳と父の優しさを感じさせながら、丁寧に歌と役柄に向き合っていきます。

    アンサンブルの初めての歌稽古には、21名が参加。圧倒的な力と音量のコーラスに、鎮守さんは「もっとうねって。そこは60%のパワーで良いので、ミステリアスな雰囲気で」と、ニュアンスを付けていきます。

    そして、お待たせしました!神出鬼没、『アラジン』の舞台をゴージャスに盛り上げるランプの精・ジーニーの登場です!!次々と早口でまくしたて、観客の心を舞台にひきずりこんで離さない究極のショーマン。軽々とスキャットしてみせ、ミュージカルスターよろしく朗々と歌い、マシンガンのようにジョークを飛ばしたかと思うと、心を許したアラジンにだけ、ふと、自分の素の感情をちらみせしたりする−そんなジーニーの魅力は、残念ながら言葉でお届けするのに限界があるのです。皆さま、劇場でお確かめあれ!

    観客をけむに巻くミスター・エンターテイナーのジーニーは、開幕のころには、軽々と、何のこともないように自分の曲を歌いこなしていることでしょう。でも、実際の譜面は、音が非常に取りづらい転調部分や、はじけまわるリズム、ぎゅっと詰め込まれた言葉など、難所のオンパレード。この難役に挑むのは、道口瑞之と瀧山久志。道口は、これまでも劇団四季の舞台でクセのある役の数々をこなしてきましたが、その彼をしてもジーニーは強敵の模様。時折、頭を抱えながら、メロディーを繰り返して歌って体に取り込み、「日本版ジーニー」のキャラクターを練り上げようとしている様子です。一方、初の大役に挑む瀧山は、譜面をにらんでうめいて頭をかきむしり、転調に悶絶しながらも、「楽しい!すごく楽しい!」とやる気を燃え立たせていました。

    稽古始め!

    3月16日(月)、稽古始め。この日から、本格的な稽古が走り出しました。
    当日は、出演候補の俳優たちはもちろん、劇団の幹部役員をはじめ、日本版製作チームより加藤敬二、田邊真也、日本語訳詞担当の高橋知伽江さん、音楽監督の鎮守めぐみさん、経営や技術の各セクションのスタッフらも同席して、初顔合わせの挨拶が行われました。その後、さっそくピアノの伴奏で、舞台の最初から最後まで通しての稽古がスタート。
    椅子に座ったままの状態で身振りやダンスもついておらず、セリフも歌もこれから深める荒削りな状態ですが、それでも作品の楽しさに、セリフのあちこちで笑いが起こり、ジーニーのシーンでは、俳優からもスタッフからも爆笑が。手ごたえを感じる初めの一歩となりました。

    これから俳優たちは稽古を進め、約2週間後には、海外スタッフも合流。『アラジン』の世界を作り上げていくことになります。日本版の演出の旗振りをする加藤敬二は、この日の稽古報告書にこう記しました。

    「派手なレビューコメディーだが、負けないドラマと感動をプロダクション全体で創り、『四季のアラジン』を目指したいと思います」。

    小道具の現場より

    ここは大阪にある「つむら工芸」。劇団四季の数々の舞台美術をお願いしてきた美術制作会社の工場で、『アラジン』に登場する「ゴールデンタワー」が制作されています。
    アラジンが訪れる洞窟に登場するお宝タワー。大中小サイズ、計6塔が制作されることになっていて、1番大きいものは、なんと5メートルの高さがあるとのこと!

    木で作られたタワーのひとつに、アクセサリー、食器、カトラリー、コイン、布など、ゴールドの飾りを大量につけていきます。どんどん輝きを増す黄金の塔。欲深くない人間でも、うっとり見とれてしまう罪深いリッチ感...。誠実な心の持ち主・アラジンでも、ついつい手が延びてしまいそう!!

    飾った塔を、装置・小道具デザイン補のロズ・クームズさんがチェック。全体的に気に入った様子で、一部の飾りについて調整しつつ、劇場に本格的に設置されることになりました。

    色彩はじける、アグラバーの市場

    一方、劇団四季の横浜の稽古場。カラフルなアイテムがたくさん置かれています。
    これは砂漠の王国・アグラバーの市場で登場する道具の数々。劇団四季の小道具のメンバーが、ブロードウェイの舞台で使用されている小道具の写真を参考に、手ずから製作したものです。

    ここもロズさんが訪れ、道具の素材や質感、色などを次々チェック。丁寧に作り出された小道具の数々に、「ファンタスティック!」と微笑みながら、小道具担当のスタッフと、ディテールについて改良の打合せをしていきます。小道具担当も作業の上で生じた疑問点をロズさんに次々と質問。よりよい舞台作りのための、貴重な機会となりました。

    (会報誌「ラ・アルプ」2015年4月号より転載)

関連コンテンツ

はじめに Introduction

劇団四季|ディズニー提携第5弾作品ミュージカル『アラジン』

ストーリー Story

ストーリー

ギャラリー Gallery

舞台写真・プロモーションビデオ