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日本公演を支えたクリエイティブスタッフ

  • ロン・コーレン氏 インタビュー
  • ジェフ・リー氏 インタビュー
  • ロン・コーレン氏 インタビュー

    ディズニーと劇団四季のコラボレーション第4弾となる、ミュージカル「リトルマーメイド」。
    ディズニー・シアトリカル・プロダクションズの国際担当シニア・ヴァイス・プレジデントとして、長年、劇団四季と交流のあるロン・コーレン氏に、このミュージカルを制作した動機や世界の観客を魅了している様子についてお話を伺いました。

    ーディズニー・シアトリカル・プロダクションズの社長、トーマス・シューマーカー氏は、「『リトル・マーメイド』こそ、ミュージカルに最も近い作品。本来あるべき姿に戻した」と語っておられますが、映画「リトル・マーメイド」を舞台化した経緯を教えてください。

    ロン・コーレン氏:映画版「リトル・マーメイド」によって、ディズニーアニメーションの歴史は復活を遂げました。アラン・メンケンとハワード・アッシュマンという二人のブロードウェイミュージカルの作者によって、ストーリーと原作が創作されるというユニークな手法が取られたからです。彼らはアニメーション映画に、ライブミュージカルのエッセンスを持ち込んでくれました。実はディズニーは、1994年に『美女と野獣』の創作を開始した際にも、非常に自然な成り行きとしてミュージカル『リトルマーメイド』の展開を同時に考えていました。『ライオンキング』や『アイーダ』のプロジェクトが先行はしましたが、常に『リトルマーメイド』の開発は続けられていました。

    ー何故ブロードウェイの後、『リトルマーメイド』の展開をヨーロッパに求めたのですか?

    ロン・コーレン氏:我々は常に、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの物語を原作とする「リトル・マーメイド」は、生まれ故郷であるヨーロッパで受け入れられると感じていました。また同時に、本作品に対する新たな創造的ビジョンも求めていました。新しいデザインアプローチと、脚本を更に洗練させ、本作品をもっと深めたいと思う我々の想いに、ヨーロッパのパートナーであるステージエンターテインメント社が共感し、一緒にやることとなったのです。本作品がブロードウェイからこの新しいバージョンへと進化を遂げ、そして今や日本でも上演されようとしている事を非常に嬉しく思っています。

    ーヨーロッパ・バージョンでは、『アイーダ』『メアリー・ポピンズ』の舞台美術家ボブ・クローリー氏の起用が大きな話題となりました。なぜ彼を起用されたのですか?ボブには、どのようなことをリクエストしたのか教えてください。

    ロン・コーレン氏:第一に、二つの世界の存在、そして一人のキャラクターがその二つの世界を生きるというストーリーそのものに、ボブ自身が惚れ込んでいたのです。彼は衣裳及び舞台美術を手掛けたのですが、二つの世界とそこに生きる人々の様子を、明確に区別するデザインの創造を求めていました。新しいプロダクションには、斬新なデザインが必要不可欠だと分かっていましたし、この要望に応えられる人物は、ボブ・クローリー以外に考えられませんでした。

    ーこの作品においては、やはり"海中"の表現がポイントであると思います。非常に斬新かつ洗練された舞台だと伺っていますが、自信のほどをお聞かせください。

    ロン・コーレン氏:アリエルの水中世界を巧みに創造した我々のチームの成果を、非常に誇りに感じています。これはまさしくチームによる努力の賜物で、劇場表現の可能性への挑戦だと思います。演出と振付がボブのセットに溶け込み、衣裳とパペットデザインが海の生き物の動きを見事にとらえました。勿論、そこにはフライング技術も使われており、それに柔らかな素材を用いた衣裳の流れるような動きが加わると、非常に優美な表現が生まれます。これら個別の要素のそれぞれが優れており、一つでも欠けると、その世界観を完成させることは出来ないのです。

    ー「ヨーロッパ版」の初日となったオランダ・ロッテルダムの公演に四季のスタッフが訪れ、あなたともそこでお会いしましたね。日本に先駆けて、オランダ公演、そしてロシア公演が開幕していますが、お客様の反応はいかがでしょう?

    ロン・コーレン氏:このミュージカルそのもの、また制作過程を学ぶために、プロフェッショナルな劇団四季のスタッフが数多く、そして何度も、ヨーロッパにお越しくださったことを大変嬉しく思っています。四季の方々のように、作品の立ち上げをオリジナルのクリエイティブスタッフと一緒に経験出来る事は、その後の作業や舞台造りを円滑に進める上で非常に有意義です。オランダ並びにロシアプロダクションは両方とも大成功を収めており、特にモスクワの新しい「ロシア劇場」では、家族連れだけでなく大人のお客様が友人や恋人と来場され、毎晩売切れが続いている状態です。『リトルマーメイド』は洗練された作品なので、お客様もそれに気付き始めているのではないでしょうか?

    ー劇団四季とディズニーのコラボレーションは、『美女と野獣』(1995年~)から始まり、『ライオンキング』『アイーダ』と続いて、『リトルマーメイド』で第4弾となります。『ライオンキング』は先日大阪で再び開幕し、日本の東西都市同時ロングランが始まりました。劇団四季といままで仕事をしてきた印象、そして今回のプロダクションへの期待についてお話しください。

    ロン・コーレン氏:確かに第4弾のプロダクションなのですが、これまでの長い提携関係の実績、そして四季が一つの作品を何度も再演してくださっている事から、もっと多くの作品を産み出したように感じる程です!四季とディズニーの提携関係は、世界の興行界で最も成功したパートナーシップと言えるでしょう。また、浅利先生が日本における我々のクリエイティブコンテンツを導いてくださっている事をとても誇りに感じております。我々のパートナーシップの強固さと同じくらい大切なのは、四季が、我々ディズニーにとって最も重要な「完全性と最上の質を求める」という目的を共有し、守ってくださっている事です。

    ー最後に、日本の「四季の会」会員、『リトルマーメイド』のお客様に向けてメッセージをお願いいたします。

    ロン・コーレン氏:我々が精魂込めて創った『リトルマーメイド』を日本のお客様が楽しんでくださること、そして作品をベストな状態で観ていただけるよう日夜努力している劇団四季を引き続きご支援くださること、ただそれを願うのみです。

  • ジェフ・リー氏 インタビュー

    今回は、『リトルマーメイド』ヨーロッパ版のオリジナル・アソシエイト・プロデューサーであり、日本側スタッフとの窓口となって奮闘されているジェフ・リーさんにお話を伺いました。
    ジェフさんは『ライオンキング』のオリジナル・アソシエイト・ディレクターとして、日本でも作品制作の最前線で陣頭指揮を執られた方で、以来、劇団四季とは深い親交があります。『リトルマーメイド』ヨーロッパ版に企画の最初期から関わったジェフさんに、その特徴や魅力について語っていただきます。

    アニメから舞台へ――更に深まった物語

    ー再び、お仕事をご一緒させていただくことになりました。劇団のメンバーも、あなたがこのプロダクションに参加されていることを知って、とても喜んでいます。

    ジェフ・リー氏:ありがとう。
    『ライオンキング』のために日本で過ごした日々は、とてもエキサイティングでした。再び劇団四季の友人たちに会えることを嬉しく思います。

    ー今日はあなたに『リトルマーメイド』について伺いたいと思います。この作品の骨格は、ブロードウェイで初めて舞台化された際、脚本家のダグ・ライトが、アニメーション映画版のキャラクターとドラマに深みを与えた台本ですよね。彼がこの進化の段階で何を目指したか、そしてそれがショーに与えた影響を教えてください。

    ジェフ・リー氏:『リトルマーメイド』の出発点であるアニメーション映画は、日本でも大ヒットしたと聞いています。映画版は、アニメ映画の名手、ロン・クレメンツとジョン・マスカーが監督を務め、作曲家アラン・メンケンと作詞家ハワード・アッシュマンが書いた素晴らしいメロディの魅力も相まって、アニメ史に残る名作となりました。またスペクタクルな映像表現が効果的に用いられているため、物語の進行もダイナミックでスムーズです。
    一方でこうした作品ほど、生身の人間が観客の眼前で演じる舞台化には困難を伴います。そこでブロードウェイ初演では、演出に、オペラでも活躍しているフランチェスカ・ザンベロ、アラン・メンケンの新しいパートナーとして作詞家グレン・スレーター(同じくメンケンとのコンビで映画「塔の上のラプンツェル」)といった実力派のスタッフが起用され、演劇的な想像力に満ちた奥行きのある台本の制作を目指すことになりました。この作業の中心人物が、脚本家のダグ・ライトです。『グレイ・ガーデンズ』などで成功を収めた彼の参加は、ディズニー・シアトリカル・プロダクションズ社長であるトーマス・シューマーカーの強い意向を受けてのものでした。ライトの起用は奏功しました。彼らの努力によって台本は生まれ変わり、新しい台詞や歌詞、丁寧に張られた伏線、そして想像力を刺激する舞台ならではの伝統的な表現が加えられました。なかでも、アリエルと王子エリック、父トリトンとの間の交流が丹念に書き込まれ、映画のドラマチックな場面や感情の機微が、遜色なく舞台化される道筋が示されました。

    アラン・メンケンの新曲が、作品をパワーアップ

    ー作曲家アラン・メンケンと作詞家ハワード・アッシュマンは二人ともディズニー作品にとって欠かせないクリエイターだと思います。また、亡くなったアッシュマンの後を引き継いだグレン・スレーターとの新コンビによって10曲が追加され、作品に豪華さと奥行きが加わりましたね。

    ジェフ・リー氏:これまでディズニーが手掛けたアニメ映画を原作とするミュージカルでは、常に舞台版のために新曲が書き加えられてきました。そもそも映画の上映時間が約90分程度なのに対し、舞台は2時間以上あります。映画では登場人物の感情の高ぶりを特撮的な表現で描くことが多いのですが、舞台では、情熱的なナンバーやリリックなバラードといった音楽的な工夫の方が効果的なのです。また、映画では映像的な処理を使って物語が進行していた部分について、舞台では新しい音楽がそれを代替することもあります。 他の全てのミュージカルと同じように、物語をドラマチックに進行させ、観客に感動を与え、その成否に大きな影響を与えるのは「音楽」です。これを増強することは、ミュージカルを成功させる最短の道でしょう。

    ー『リトルマーメイド』ヨーロッパ版の制作は、どのように進んだのですか?

    ジェフ・リー氏:ヨーロッパ版開発の出発点はブロードウェイです。ここでの伝統的な方法に則った形で制作されました。初めに度重なるワークショップと本読みが行われました。また新曲をどう使うか、振付とシーンをどう運ぶかなども徹底的に検討され、同時にパペット、衣裳などの美術的要素も開発、制作されました。
    稽古段階になって、チームは初演地のオランダに移動しました。アムステルダムのリハーサルルームで充分に稽古を練り上げ、その後幾つかの都市で上演された後、ロッテルダムで華々しいワールドプレミアを迎えました。四季のスタッフとも、ここでお会いしましたよね。

    斬新な『リトルマーメイド』のデザインコンセプト

    ーセットと衣裳デザインを手掛けたボブ・クローリーはディズニーとも縁が深いですが、この作品においても彼は独特のビジョンを打ち出しているように思います。これについて、詳しく教えてください。

    ジェフ・リー氏:四季のスタッフは、『アイーダ』で一緒に仕事をしているから、彼のことは良くご存知でしょう。昨年のトニー賞で最優秀ミュージカル装置デザイン賞を受賞した、世界のトップデザイナーの一人です。 この作品に於けるボブ・クローリーのコンセプトは明快です。キーワードは「アリエルの視点」です。彼女にとって、今住んでいる海中の世界は窮屈で場違いな現実感に満ちた世界であり、愛するエリックが住む地上は、憧れと夢に溢れた世界なのです。従って彼女にとって「現実」である海底は、実際の海の中のように流動性を持ち、柔らかく、潮流によって常に動いている場所としてデザインされました。 一方、地上の世界は、「パート オブ ユア ワールド」で彼女自身が歌っているように、憧れの世界――「おとぎ話の絵本の世界」として描かれました。時間の経過や場所の特徴を表すために強い線やエッジの立った表現が使われ、動きや境界線を表現するためにも、絵本の伝統的な手法が用いられています。言わば、飛び出すグリーティングカードのような機密なデザインでしょうか。背景も大きな絵本のようなものに象徴的に描かれ、場面転換は、実際にページを捲って行われます。アリエルがエリックの世界で出会う新しい場所や冒険が、まるで絵本のページを読み進めるように展開していくのです。

    ー水中での人魚たちの表現、中でも泳ぐ様子は非常に滑らかで自然です。これを実現させたのはフライング技術ですが、その特徴について教えてください。また泳ぎながら(飛びながら)歌い、台詞を言う人魚役の俳優たちには、どんなアドバイスがなされたのでしょうか。フライングについてテクニカル面、演出面の両方の観点から教えてください。

    ジェフ・リー氏:フライングで泳ぐ場面を表現するアイデアは、演出のグレン・カサーレの発案です。彼とフライング・デザイナーであるポール・ルービンとの長年にわたるコラボレーションの実績から、海中の滑らかな動きを描くためには、フライングを使用するのが自然という結論を導きました。カサーレとルービンが海底シーンに出演する俳優に与えた指示は、「海中や海底では、魚や海の生物が常にそうであるように、身体の動きを滑らかにすること」というシンプルなものでした。現実でも、海の生き物が、その滑らかな動きを止めれば海底に沈んでしまいますよね。俳優たちが一旦このルールを憶えてしまえば、あとは台詞を語ったり、歌ったりする時にも、それが習慣化するようになるのです。また人魚たちについては、衣裳デザインを手掛けたボブ・クローリーの美しい「ヒレ」によって、滑らかさが一層引き立てられています。

    フライングと並んで、海中の世界を表現するのに大切な役割を果たしているものに、魚たちのパペットがあります。これらのパペットデザイン意図について教えてください。例えば『ライオンキング』のパペットとどのような違いがあるのでしょうか。

    ジェフ・リー氏:アリエルの住む海中の生物たちを表現するのに、パペットを使用することになったのも自然の成り行きでした。俳優たちの身体表現に深く関わりますし、生き物として自然に見えなければならないパペット制作の難しさを、デザイナーのトビー・オリーはシンプルでエレガントな手法を使って解決してくれました。先ほども申し上げた通り、海中の場面では、しなやかな流動性と滑らかさがカギです。ですから魚を表現するパペットは、それが実際に海中に居る時のように、常に動いて(泳いで)いる必要があるのです。『ライオンキング』のパペットは大地に寝付いた陸の動物ですが、『リトルマーメイド』では全て海の中に住んでいます。そのため、サバンナの動物のような豪快な動きに対し、滑らかに動き続けることが出来るような柔らかさが不可欠なのです。デザイン上も明確に区別する必要がありました。

    ヨーロッパでの圧倒的な成功、そして日本での「エンハンスメント」(積極的な変更による補強作業)

    『リトルマーメイド』は、現在オランダとロシアで上演されています。お客様の反応はいかがですか。

    ジェフ・リー氏:昨年、オランダ国内で八カ月に及ぶツアーを成功裏に終えた後、ユトレヒトで常設公演としてロングランに入りました。現時点で、2013年6月までの公演延長が決まっています。オランダで『リトルマーメイド』が13月間も上演できるという事実は、この公演の成功を証明しています。さらにモスクワでは、開幕直後に、これまでロシアで上演された全てのチケット売上記録を更新しました。バレエやストレートプレイが有名なモスクワで、こんなに受け入れられたミュージカルは他にないでしょう。完売が続くチケット前売り状況の好調さ、そして毎公演の熱狂する観客の様子を見る限り、『リトルマーメイド』は更に売上記録を伸ばし、それを更新し続けるはずです。

    ー日本版『リトルマーメイド』では、オリジナルのヨーロッパ版をそのまま上演するのではなく、部分的な「エンハンスメント」(補強)が計画され、そのためにディズニーと四季の間で多くの議論がなされています。これは、これまでにない新しいアプローチですよね。こうした試みについて、あなたの印象はいかがですか?日本チームの印象も合わせて教えてください。

    ジェフ・リー氏:作品が国境を越えるためには、台本に書かれた台詞や歌詞が、受け入れる国の観客にとって理解しやすいよう、文化の違いを意識しながら翻訳されねばなりません。この問題について我々と四季は、『美女と野獣』『ライオンキング』『アイーダ』で充分な経験を重ねてきましたから、今回のアプローチについても何の心配も持っていません。
    また作品が新たに制作される毎に、更に進化できるかどうかが再検討されるのは理想的なあり方です。どんな作品も生きている「胚」のようなもので、向上できるチャンスを持ち続けているのです。
    本作品は、ブロードウェイからオランダへ、更にオランダからモスクワへと進化を遂げました。この新しい東京プロダクションでも成長と進化を遂げるべきです。四季が計画する「エンハンスメント」――日本の観客にむけて作品を現地化、増強するための提案は、大変創意に溢れたものばかりです。我々『リトルマーメイド』のオリジナルスタッフは、四季からの一つ一つの提案に対しできる限りその要望に添いつつ、同時に核となる作品のメッセージとデザインコンセプトを保つことができるよう、検討と工夫を重ねてきました。
    どのようなプロセスを経ても、日本の『リトルマーメイド』に携わる全てのスタッフが求める結果は一つです。それはつまり、史上最高の『リトルマーメイド』を創り上げること。これまでディズニーと四季は、幾つものコラボレーションを成功させてきました。今回も、私たち全員で素晴らしいゴールを達成しましょう!日本に伺うのが本当に楽しみです。

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