出演俳優 一問一答インタビュー

出演経験俳優たちが『オペラ座の怪人』にまつわる思い出など様々な質問に一問一答形式でお答えしました。
演じる側から見た、『オペラ座の怪人』の魅力に迫ります。

  1. 初めて『オペラ座の怪人』を観劇されたのはいつですか?そのときの印象もあわせて教えてください。
  2. 『オペラ座の怪人』に初めて出演したときの思い出やエピソードなどを教えてください。
  3. 初演時に来日したオリジナルスタッフの方々との交流の中で思い出深いエピソードや印象に残っている言葉などお聞かせください。 ※初演時に出演した俳優のみ回答
  4. ウエストエンド、ブロードウェイ、日本等、世界中で愛されている『オペラ座の怪人』の魅力は何だと思いますか?
  5. 自身が出演した役に関して、演じる際の工夫・苦労・こだわりは?
  6. 出演経験以外の役で、演じたいと思う役はどの役ですか?(性別問わず)

青山弥生

青山弥生 YayoiAoyama 演じた役:
メグ・ジリー
1979年4月、劇団四季附属研究所に入所。
81年の子どものためのミュージカル『嵐の中の子どもたち』のビッキー役で初舞台を踏んだ。
翌年の6月には『魔法をすてたマジョリン』のマジョリン役に抜擢され、軽やかなフライングを披露。その後、『ウェストサイド物語』のロザリア、『キャッツ』のランペルティーザ、シラバブ、『コーラスライン』のコニーなどで活躍。88年の『オペラ座の怪人』ではメグ・ジリー役に大抜擢。
その他、『ライオンキング』ラフィキ、『マンマ・ミーア!』ロージーを好演。
  1. 初めて『オペラ座の怪人』を観劇したときの印象
    1988年、ニューヨーク公演の初日に観劇しました。ちょうど日本初演のオーディションを受けた後の事、初演時のキャストと一緒に劇場を訪れました。初めて観たときは、音楽と美術の素晴らしさに圧倒され、十九世紀パリ・オペラ座に一瞬にして引き込まれる、あの「オーバーチュア」の旋律の中、ドレープが上がっていく冒頭のシーンには鳥肌が立ちました。目で見て、耳で聞いて、肌で感じる全てのものが凄い! また、クリスティーヌを演じたサラ・ブライトマンはとても魅力的でした。
  2. 初めて出演したときの思い出やエピソード
    バレリーナではなかった私が、オーディションに受かり、メグ・ジリーを演じることになったときは驚きました。当時は、劇団の方たちも私がバレリーナではないからと反対もされましたが、ハロルド・プリンスから「トライしてくれ」と言われたとき、怖いもの知らずだった私は「やります!」と言ってしまいました。とにかく挑戦しようとトウシューズを買いに行きました。トウシューズの履き方すら知らなかった私に、バレリーナの方たちが色々なことを教えてくれたことを今も覚えています。
  3. オリジナルスタッフの方々とのエピソード
    ロイド=ウェバーさんは初日に来場され、その時初めてお会いしました。彼からは、何か特別なオーラを感じました。ハロルドはとても温かく優しい人で、私達を導いてくれた方です。ジリアン・リンはミステリアスな女性で、まるでマダム・ジリーのようでした。マリア・ビョルンソンは独特の世界観のある方で、舞台装置と衣裳のデザインはとても素晴らしいと思います。彼らの力でこれだけゴージャスな作品が作られたことに感動しました。
  4. 『オペラ座の怪人』の魅力
    台本と曲と美術の三位一体ですね。舞台的要素が全て入っている作品です。
    フランスでは『オペラ座の怪人』は誰もが知っている物語だそうです。日本で言う昔話や童話のようなものでしょうか。そういったお話を、これほどまで芸術性の高い作品に仕上げたことは本当にすばらしい。舞台芸術としては最高峰と言える舞台だと思います。
    また劇団四季の『オペラ座の怪人』は、訳詞も魅力のひとつです。日本人の心をぐっと掴む台詞と歌詞は、この作品にさらなる芸術性をプラスしています。日本人にもフィットする物語ですが、そこに拍車を掛けている台詞と歌詞は、この作品の詩的な魅力をさらに深めていると思います。
  5. 演じる際の工夫・苦労・こだわり
    私は長くメグ・ジリーを演じさせていただきました。ハロルドから言われたのは、「メグ・ジリーはとても好奇心があってポジティブな子。子どもが入ってはいけない支配人室まで入っていくような子」だということ。クリスティーヌ役の俳優とは常に共に作品を作り上げていきました。そんな私たちが演じることで、友を想う友情やクリスティーヌもメグ・ジリーを頼っているという感じが出せたのではないかと思っています。
  6. 演じたいと思う役は
    マダム・ジリーは演じたいと思う役です。声が出るのならカルロッタも演じてみたい。マダム・ジリーの魅力は、やはり秘めた強さ。メグ・ジリーとはとても親子とは思えない程対照的ですが、その凛とした姿は魅力的ですね。

村俊英

村俊英 ToshihideMura 演じた役:
オペラ座の怪人
ムッシュー・フィルマン
ドン・アティーリオ
パッサリーノ
国立音楽大学声楽科を経て、二期会研究所卒業。90年オーディション合格。
『オペラ座の怪人』で四季での初舞台を踏む。
『アスペクツ オブ ラブ』ジョージ、『キャッツ』オールドデュトロノミー、グロールタイガー『ジーザス・クライスト=スーパースター』ピラト、『サウンド・オブ・ミュージック』トラップ大佐など、深みのある美声を生かしミュージカルを中心に活躍している。
『オペラ座の怪人』タイトルロールは95年から演じている。
  1. 初めて『オペラ座の怪人』を観劇したときの印象
    入団した年にこの作品の稽古に参加させてもらい、1990年の名古屋公演で初めて観劇しました。プロローグから50年ほど前にタイムスリップするときに流れる「オーバーチュア」。パイプオルガンの響きに度肝を抜かれた記憶があります。また、怪人の切ない思いに目頭が熱くなった感動はいまだに忘れられません。
  2. 初めて出演したときの思い出やエピソード
    1990年の11月に入団し、12月の名古屋公演にアンサンブルとして出演させてもらいました。稽古期間が短く、ほとんど劇場で本番に出演しながら役を深める作業でしたので、当時、先輩方に面倒をおかけした記憶しかありません。
  1. 『オペラ座の怪人』の魅力
    アンドリュー・ロイド=ウェバーの音楽の魅力がこの作品を支配している事はもちろんですが、ドラマティックな展開と大掛かりな舞台美術もこの作品の魅力です。華やかな「パリ オペラ座」と不気味な「地下室」という対照的な2つの世界で展開される究極のラブストーリー。結末を観た人は一応に主人公の3人がこの先どうなるのだろうかと想像させられる演出なのでリピートしたくなる作品ですね。
  2. 演じる際の工夫・苦労・こだわり
    この作品で、ムッシュー・フィルマン役と怪人役に携わることができました。
    どの役に対しても言えることですが、自分の体を通じてその役の存在をお客様にどれだけお届けできるかが、役を演じる上での最大の作業だと思います。もちろん、音程、リズム、そして言葉を正確に伝えることは言うまでもなく、作品全体を通しての役割を忠実に演じる側が一人ひとり役として生きていけば、その歯車が円滑に回ると思います。相手役あっての自分なのですから、感受性のアンテナを多く持ちたいと思っています。
  3. 演じたいと思う役は
    やはり、女性だったらクリスティーヌを可憐にそして切なく演じてみたいですね(笑)。それとクリスティーヌのナンバーを歌えることは、歌い手冥利に尽きますね。

佐野正幸

佐野正幸 ToshihideMura 演じた役:
オペラ座の怪人
ラウル・シャニュイ子爵
ヘア・ドレッサー
ドン・アッティーリオ
宝石商
1986年に東京芸術大学声楽科を卒業。同年秋のオーディションに合格し入団。
半年後には『ジーザス・クライスト・スーパースター』のペテロ役に大抜擢され、デビューする。
『オペラ座の怪人』では、アンサンブルから、ラウル役へと抜擢。その後、『永遠の処女・テッサ』のロベルト役でストレート・プレイにも初チャレンジ、93年の『ひばり』でもラヴニュを演じた。
2006年『オペラ座の怪人』怪人役で出演。『美女と野獣』ではビーストを好演している。
  1. 初めて『オペラ座の怪人』を観劇したときの印象
    初演の初日から舞台に立たせていただき、しばらくはずっと出演していたので、実際に客席から全幕を観たのは始まってから数年は経っていたと思います。観たときは改めて「劇団四季の『オペラ座の怪人』は凄いらしい」というキャッチコピーを実感しました。このキャッチコピー、初演から変わっていないんですよね。これも凄いと思います。
  2. 初めて出演したときの思い出やエピソード
    ヘア・ドレッサー役で日本初演の初日の舞台に立てたことは、今思い出しても光栄に思いますし、感謝の気持ちで一杯です。この後、ラウル役、そして現在はファントム役をやらせていただけていることを考えると、この初日が自分の舞台人としてのスタート地点だったのかなとつくづく思います。印象深い出来事としては、初演から少し後だったと思いますが皇太子殿下が御観劇くださり、終演後、パーティーでとても気さくに舞台の感想をお話しくださったことが今でも印象に残っています。
  3. オリジナルスタッフの方々とのエピソード
    稽古初日にハロルド・プリンスがアンサンブルの皆に向かって言った言葉を今でも覚えています。「幕明きから終わりまで、どの場面も常にファントムへの恐怖を感じていてくれ。特にファントムが登場するまでは、観客にファントムへの恐怖心を植え付けるように」。これはこの作品の演出の基幹となる言葉だと思いますので、後輩たちには事あるごとに伝えるようにしています。
  4. 『オペラ座の怪人』の魅力
    客席に落ちてくるシャンデリア、舞台上に一瞬のうちに現われ、消えていく蝋燭、神秘的な舞台セットやドレープ、豪華な衣裳、ロイド=ウェバーの計算し尽くされた音楽など、魅力をあげればきりがありませんが、何よりも一番の魅力はストーリー、ドラマにあると思います。この先はどうなったのだろうと観客の想像を膨らませる終わり方も魅力のひとつだと思います。
  5. 演じる際の工夫・苦労・こだわり
    ラウルは容姿、身分など全てが完璧な人間。それに対してファントムも建築家であり作曲家という天才的な知能を持った完璧な人間だけど、右側の顔だけに大きなコンプレックスを持っています。ラウルを演じるときは立ち振る舞いに気をつけ「陽」であることを意識しました。ラウルが「陽」であればあるほど、ファントムの「陰」が際だちその哀愁が増すと思ったからです。ファントムを演じるときは、いつも顔の右側の醜さを鏡に映し、そのコンプレックスを常に忘れないよう舞台に立っています。
  6. 演じたいと思う役は
    初演からこれまでに、ヘア・ドレッサー、ドン・アッティーリオ、宝石商、そして、ラウル子爵、ファントムといろいろな役をやらせていただきましたが、目標はこの作品の全役制覇です!(笑) 10年後、20年後もこの作品に携わり『オペラ座の怪人』の世界の中で生きていけたら幸せだと思います。

高井治

高井治 ToshihideMura 演じた役:
オペラ座の怪人
東京芸術大学大学院を卒業後、大学の非常勤講師を務める傍ら、オペラの舞台にも立つ。
1999年10月オーディション合格。
劇団四季での初舞台は、2000年4月の『キャッツ』名古屋公演。
その後、『壁抜け男』に出演。2001年4月『オペラ座の怪人』仙台公演でオペラ座の怪人役に大抜擢。
京都、福岡、東京、大阪、名古屋など各地の公演でオペラ座の怪人を演じ、現在までの出演回数は2000回を超えている。
  1. 初めて『オペラ座の怪人』を観劇したときの印象
    2001年4月29日(日)、仙台公演の初日。その日は村さんがファントムを演じられていました。自分も出演予定になっていましたので、そのことで頭がいっぱいでしたが、そのときの村さんは貫禄があり、さすが大先輩と感じました。
  2. 初めて出演したときの思い出やエピソード
    入団一年後にファントムとして出演。プレッシャーはありませんでしたが、大変な役だということは思いました。クラシックから来たので怖いもの知らずで、当たって砕けろという姿勢で臨みました。最初のうちは色々試したり探りながら演じていましたが、今はあまり迷うことはありません。出演最初の週は村さんと交互に出演していましたが、その次の週からは自分一人。一週間一人で演じ、あまりのしんどさに交代を願いたくなるほどでしたが、そのあともう一週間は一人で出演し、主役を張るというのはこういうことなのだと思いました。
  1. 『オペラ座の怪人』の魅力
    音楽、演出、ストーリー、すべてが作品の魅力です。また、現実と非現実の対比、その配置が絶妙です。現実とはオペラ座・人間・真実、非現実とは地下の迷宮・怪人・謎です。また、作曲家ロイド=ウェバーと歌姫サラ・ブライトマンという現実の関係が、怪人とクリスティーヌの関係と重なっているところも興味深いです。
  2. 演じる際の工夫・苦労・こだわり
    どうすればこうなるというコツは掴めない。掴んだ気になり、それに頼るとだいたい失敗します。そもそも何が正解かわからないので、その場で最善を尽くすしかありません。拘りは持たず、自然な状態を保つようにしています。自分の状態も変化していくので、そのときはそれがよくても今は違う、ということもよくあります。2000回以上演じていますが、同じ役をそれだけ演じるのは難しいことです。簡単ではありません。
  3. 演じたいと思う役は
    『オペラ座の怪人』のキャラクターはどれも演じてみたいです。いつも身近に接していますので、とても興味が湧いてきますし、自分だったらこう演じてみたいと思うことがあります。

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