劇団四季

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~ジェローム・ロビンス財団公認振付師~
演出家ジョーイ・マクニーリー氏 スペシャルインタビュー

『ウェストサイド物語』の生みの親であり、『王様と私』、『屋根の上のバイオリン弾き』など数々の傑作を手掛けた不世出の演出家・振付家ジェローム・ロビンス。
今回の東京公演では、その魂を受け継ぐ“公認振付師”であるジョーイ・マクニーリー氏が演出家としてタクトを振ります。
ブロードウェイで継承されてきた伝統と四季が積み重ねてきた歴史が、果たしてどんな融合をみせるのか?
注目の舞台に先立ち、たっぷりと意気込みを語ってもらいました!

  • ジョーイ・マクニーリー氏
    スペシャルインタビュー
  • ジョーイ・マクニーリー氏
    メッセージ
  • ―マクニーリー氏は、2000年のスカラ座公演から、2009年のブロードウェイ・リバイバル公演も含めて、15年間にもわたり『ウェストサイド物語』と関わっていますが、その中で特に強く感じたことは何ですか?

    オリジナルの素材がいかに大切かということです。
    この舞台では、脚本と音楽と振付が不可分に結びついており、その完璧なバランスを崩すべきではありません。ただし、だからといって初演のレプリカで良いかといえば、答えはノーです。なぜなら、観客は『役者が芝居をしている姿』を見たいのではなく、『生身の青年が生きている姿』を見たいからです。脚本・音楽・振付とは、あくまで感情を表現するための素材であり、そこに込める情熱やエネルギー次第で、まったく新しい命を吹き込まれた舞台になるのです。
    その点で、アーサー・ローレンツ(脚本)、レナード・バーンスタイン(音楽)、ジェローム・ロビンス(振付)は最高の素材を遺してくれました。彼らに敬意を払うと同時に、『ウェストサイド物語』は現代に生きる私たちの手で、きっとさらなる高みへ昇ることができる。その手応えをがっちりと掴んでいます。

    『ウェストサイド物語』振付師 ジェローム・ロビンス

    ―“公認振付師”ということで、偉大なる先人ジェローム・ロビンスとの稽古の中で、印象的だったことはありますか?

    ロビンスも私も生まれながらのアクターとして、言葉よりも感情をベースに会話していたことです。
    言葉による説明がなくとも、彼の表情や眼差しからメッセージを理解し、表現することができました。
    ただ、分かりづらいでしょうからあえて印象的なフレーズを挙げるとするなら、『自分の身体は、自分が欲したことを行う』と彼は語っていました。
    “振付を踊る”のではなく、“感情を踊る”ということです。

    ―非常に繊細なダンサーとしての本質が問われそうですね。それは四季の俳優にも求めていくことですか?

    もちろん!ロビンスも厳しかったですが、私も相当厳しいですよ(笑)。
    “感情を踊る”といっても、振付を損なっていいというわけではありません。オリジナルの振付を忠実に踊るという“正しさ”と感情を表現するという“危うさ”。この二つを同時に成立させるのは、とても難しいことです。
    ですが、四季の俳優はとてもレベルの高い訓練を施されているので期待しています。一方で日本人は感情表現が苦手な傾向にありますから、そこは私が解き放ってみせます。その代わり、俳優諸君には『何も怖れるな』と伝えたいですね。何も怖れずに感情を解き放てば、それまで見えていた境界線がなくなり、無限の広がりを感じることができるはずです。

    ジョーイ・マクニーリー氏と演出助手・加藤敬二写真

    ―開幕する舞台がとても楽しみになってきました。

    今回の公演は、『ウェストサイド物語』が進化するための舞台であるとともに、“新しい劇団四季”のための舞台でもあります。これは芸術の新陳代謝の問題です。オリジナルは尊重しつつ、次世代に渡していかなければなりません。初演のレプリカという“博物館”から抜け出し、若い情熱で作品を満たせば、何十年前の作品も現代で瑞々しい輝きを放つことができるのです。

    ―「異なる他者との対立と赦し」という作品のテーマも、今日に通じるものがありますね。

    『ウェストサイド物語』のメッセージが必要とされない時代がくれば良いのですが、状況は改善されるどころか悪化しているようにさえ思えます。だからこそ、私たちはこの作品を常にフレッシュな状態で上演し続けていかねばなりません。

    ―それでは最後に、観劇を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

    観客の皆さんには、この新しい『ウェストサイド物語』を“観る”のではなく“感じて”いただきたい。そうすれば、過去に観たことがある人も、初めて遭遇するような衝撃を受けるはずです。それは決して奇を衒ったものではなく、美しい思い出そのままに、ただそこに予期せぬ新たな命が宿っていることを感じ、驚くのです。その意味で、今回の上演はすべてのお客様にとって未知の体験となることをお約束します!

  • Message ~メッセージ~

    【原文】
    West Side Story and Japan have a very special place in my heart. It is with this that I am most happy to be working with Shiki again to create a new version of West Side Story exclusively for Shiki. A version which is made to not only bring West Side Story into the new millennium for a new generation, but also for the new generation of Shiki. It has always been my mission to make anyone who comes to West Side Story to feel how alive this story is with emotion; especially in its dancing! This is very exciting for me to come back to Japan and make this new West Side Story as exciting for the audience as it was when it was first brought to Japan so many, many years ago.

    固い握手を交わすマクニーリー氏(左)と演出助手・加藤敬二(右)

    【日本語訳】
    『ウェストサイド物語』と日本は私にとって特別な存在です。だからこそ四季と再び手を組み、新しい劇団四季版『ウェストサイド物語』を創ることは、私にとってこの上ない喜びです。
    今回の公演は、『ウェストサイド物語』を次の世紀に伝えるだけでなく、四季の新しい世代に合った作品として創り上げるものです。
    『ウェストサイド物語』をご覧になるお客様に、この物語が特にダンスを通じて、様々な感情で生き生きと息づいていると感じていただくこと――それが私の使命であると務めてきました。
    何十年も前に日本で初演された時と同じくらい、『ウェストサイド物語』が新たなお客様に新鮮な感動をもたらす作品となることに、とてもワクワクしています。

    『ウェストサイド物語』演出家・ジョーイ・マクニーリー氏プロフィール

    ジョーイ・マクニーリー氏プロフィール写真

    Joey McKneely ジョーイ・マクニーリー

    ジェローム・ロビンス財団から選定された『ウェストサイド物語』の公認振付師。
    振付家ロビンスはすべてが完璧であることを求め、『ウェストサイド物語』が永遠にその質を保てるよう“公認振付師”を指定。
    マクニーリー氏は“作品の正式な振付を継承する人物”として彼に選ばれた世界に3人のうちの一人である。
    2007年の四季版上演時に浅利慶太氏の共同制作者として、創作活動に参加している。

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