
2009年10月
横浜『キャッツ』ができるまで 〜床山編〜
こんにちは、ヘアメイク担当のWです。
まもなく行われる衣裳・メイク付き稽古に向けて、
猫たちの鬘をひたすら制作しています。
開幕までに約30個、予備を含めると45個ほど準備することになりそうです。
今日、できあがった鬘たちはこちら。
実はこの子たち、外国帰りなんです。東京公演が終わった後、
タイに送って丁寧にメンテナンスをしてもらいました。
『キャッツ』の鬘は「ヤク」という動物の毛で作られているのですが、
地球温暖化の影響か「ヤク」の数も減ってきてしまっているそうなので、
大切に使わなければと思っています。
もともとは普通のショートカットのような髪型になっている鬘の
毛を逆立てて耳の形を作っていきます。
わかりやすく言うと「盛る」んです(笑)。
セットにかかる時間はその日の調子やキャラクターによって
かなり違ってきますが、20分〜1時間くらいですね。
私自身もそうだったのですが、『キャッツ』を初めて観た時、
「たくさんいすぎて誰が誰かわからなかった」
という方も多いのではないでしょうか?
でも何度か見ていくうちにそれぞれの違いがわかってきて、
お気に入りの猫が見つかったりしますよね。
ということでクイズです!
今日セットした8個の鬘、それぞれどの猫のものでしょう?
1.まずはわかりやすそうな猫から
2.続いて白っぽい猫たちです
3.だんだん難易度アップ?
4.この2つはとても似ていますよね
5.最後はこちらです
後姿だけでわかりますか?
前から見るとこんな感じです。
鬘に続いてメイクについても少しお話ししたいと思います。
「飼いならされることを拒否した誇り高き野良猫たち」ですから、
野生的でシャープな線がかっこいいですよね。
初めてメイクをする時だけ、見本を見ながら一緒に行い、
2回目からは自分で研究しながら覚えてもらいます。
やっぱり女性のほうがメイクは得意ですね。
特に、ジェリーロラム=グリドルボーン役の秋 夢子さんのラインや、
タントミール役の高倉さんのボカシ技は素晴らしいと思います。
そういえば、五反田/大崎公演の際にこんなことがありました。
デビューを控えた俳優と一緒にメイクの練習をしていた時、
「やっと出来上がった!」と写真を撮り、見本と比べてみたら、
なんと左右が逆に!鏡を見ながら後ろから教えていたのでつい・・・。
マンゴジェリー役のKさん、カーバケッティ役のSさん、あの時はごめんなさい・・・。
劇団四季のヘアメイク担当になったのは本当に縁というか。
『オペラ座の怪人』『美女と野獣』『アンデルセン』
『ミュージカル異国の丘』『アイーダ』など、さまざまな作品を
担当させていただき、あっという間に8年が経ちました。
「舞台スタッフは大変でしょう?」と聞かれることがありますが、
プロの仕事なので大変なことはもちろんたくさんあります。
でも、お客様から拍手をいただいたり、スタンディングオベーションの
客席を見たりすると本当に嬉しくなります。
『キャッツ』横浜公演、ぜひ楽しんでくださいね。
(『キャッツ』ヘアメイク担当・W)
『キャッツ』横浜公演、開幕まであと12日!
答え:
1=左:ボンバルリーナ、右:ジェニエニドッツ、2=左:シラバブ、右:ヴィクトリア、
3=ジェリーロラム、4=左:ジェミマ、右:ディミータ、5=グリザベラ でした!
横浜『キャッツ』ができるまで 〜横浜ご当地ゴミ・後編〜
前編に続き、仕込み作業中の小道具担当・Yです。
横浜『キャッツ』の大きな特徴といえば、
リニューアルするスキンブルの列車のパーツです。
今までも所々変更したアイテムはあったのですが、
今回は「横浜らしくもあり、今まで以上に汽車に見えるように」
というコンセプトのもと、加藤敬二さん、デザイナーの土屋さんと
ともにデザイン変更を行いました。
ガス灯や、港を思わせる船の浮き輪を取り込み、
10分の1のサイズで模型をつくり、プランを進めてきました。
先日、稽古場にて俳優さん達に実際に持ってもらい、
動線や列車を組む段取りの整理を行いました。
列車のパーツは、それぞれ猫たちが持っている為、
軽量でなくてはなりません。かつ、ロングラン公演に
対応できる、頑丈さが必要となります。
その為に、デザイン性・耐久性・軽量化の3点を考えながら
現在、あざみ野の小道具工房では各アイテムを13名で製作中です。
小さい頃から、絵を書いたりするのが好きで、
好きな科目は図工・美術という感じの子どもでした。
中学1年生の時に、たまたま見た札幌『キャッツ』の特集番組を見て、
「何だこれは!?観てみたい!!」と思い、母と観に行ったのがきっかけです。
劇場に入って「何だこれ〜作りたい〜」と思ってからは、
『キャッツ』の小道具担当が私の夢となりました。
劇団四季に入団したのはそれから8年後の2000年。
舞台スタッフとして、色々な作品の本番付きをした後、
2002年に小道具へ。2003年から『キャッツ』の担当となりました。
『キャッツ』のほかには、『ウィキッド』『55ステップス』『李香蘭』
『エビータ』『鹿鳴館』『解ってたまるか!』『クレイジー・フォー・ユー』
なども担当させていただいています。
なかでも、『ウィキッド』ではニューヨーク/シカゴに行き、
現地の美術スタッフと打ち合わせを行う段階から参加させてもらい、
とても良い経験となりました。
劇団四季に入団するのも大変ですが、本当に『キャッツ』の
小道具担当になれるなんて。
運が良かったなと、つくづく思います。
『キャッツ』横浜公演、楽しんでくださいね。
(『キャッツ』小道具担当・Y)
『キャッツ』横浜公演、開幕まであと15日!
横浜『キャッツ』ができるまで 〜横浜ご当地ゴミ・前編〜
開幕に向け、長野県・大町の倉庫にて荷出しを終え、
キヤノン・キャッツ・シアターで奮闘中の小道具担当・Yです。
一週間ほど前の何も無い客席と舞台。今はすごいことになっています
横浜公演では、客席通路の頭上に多くのゴミを飾る予定です。
その為、五反田/大崎公演で長年使用していたゴミたちが
落下する危険がないよう、大町でメンテナンスをします。
それが終わると、今度は「ゴミのレイアウト図面」を見ながら、
それぞれのゴミに「客席下手1番」「舞台2階/上手2番」など、
どこに飾るかを記入した紙を貼っておき、劇場に搬入してから、
飾る場所がすぐ分かるようにしておきます。
このゴミのレイアウトは、装置デザイナーの土屋茂昭さんと
相談しながら考えていきます。
適当に飾っているようですが、飾れるゴミの大きさが
決まっていたり、ゴミの色が偏らないようにしたり
(例えば青いポリタンクの横には、青いダウンベストではなく、
黄色のダウンベストを飾るなど)
細かいところまで考えている…つもり…です。
その為、図面上で確認しておく事はとても大事なのです。
なんてったって11tトラック4台分のゴミを
飾らなくてはいけないので…。
また、『キャッツ』では違う土地に行くたびに、
その土地にちなんだゴミをたくさん作ります。
横浜と言えば…小道具のメンバーに聞いても
真っ先に出てくる答えが「崎陽軒」です。
今回は「崎陽軒」さんのご厚意でサンプル品を頂けたので、
そのサンプルをもとに「シウマイ弁当」や醤油入れの
「ひょうちゃん」を3倍のサイズで製作しました。
「崎陽軒」の堀江宏樹さん(右)からサンプルを受け取る営業担当
【シウマイ弁当・昔ながらのシウマイ】
【ひょうちゃん】
過去の『キャッツ』でも登場した、各地のサッカーチームグッズ。
今回は「横浜F・マリノス」のグッズが登場します。
【サッカーボール】
【メガホン】
模型を見ながら、より本物らしく見せるように、日々奮闘中です。
横浜のご当地ゴミは他にも飾りますので、劇場で探してみて下さい!!
(『キャッツ』小道具担当・Y)
『キャッツ』横浜公演、開幕まであと16日!
出演候補者メッセージ 〜アスパラガスほか〜
みなさまこんにちは。
アスパラガス=グロールタイガー、バストファジョーンズ役の村 俊英です。
上:バストファジョーンズ、下:アスパラガス (撮影:荒井 健)
劇団四季に入ったのは1990年。
翌1991年の札幌公演でオールドデュトロノミー役として『キャッツ』に
初出演させていただき、大阪公演から現在の役で出演しています。
一番好きなのはやっぱりアスパラガスのシーンですね。
アスパラガスとジェリーロラムがライトに照らされてぽーんと浮かびあがり、
昔を思いながら歌い、語っている。その姿や歌詞が好きですね。
今の役者を嘆いて怒っている役ですから、演出家になったつもりで演じています。
傍らにいるジェリーロラムに対しては、娘のような、若い恋人のような、
そんな気持ちを抱いています。
グロールタイガー (撮影:荒井 健)
劇中劇で、アスパラガスからグロールタイガーへと変わるのですが、
全く違う役ですから変わるのはそれほど大変ではありません。
普段の自分じゃない性格を出すほうが演じやすいんですよ。
一番困るのは普通の人間。二枚目とかね(笑)。
グロールタイガーには殺陣のシーンがあるのですが、
1998年の福岡公演でのリニューアルで、中国拳法を用いた
リアルな振り付けに変わりました。
初めの頃は接近しすぎたり、剣が指にあたったりして
怪我したこともありましたね。
一番苦労している点は、お客様の心の中にどれだけ歌詞を伝えられるか。
アンドリュー・ロイド=ウェバーのメロディーは美しいですから、
どうしてもメロディックになり歌詞がぼやけてしまいがちになります。
美しいメロディーだけでなく、歌詞をお客様にきちんと届けることが課題ですね。
【横浜の一押しスポット】
海が好きなので良く港にはドライブで行きますよ。あとは中華街かな。
港の見える丘公園
「港の見える丘公園」で夕暮れ時の港を見てから劇場に入るのもいいですし、
もちろん夜景も綺麗です。
マチネ公演を観た後、中華街で食事をして外人墓地あたりを散歩するのも
風情があって良いのではないでしょうか。
もうすぐ、港が見える横浜という街が猫たちの棲み家となります。
熱い『キャッツ』をご覧いただけるよう一丸となって頑張りますので、
ぜひ劇場に足を運んでください。お待ちしております。
(アスパラガス=グロールタイガー、バストファジョーンズ役 村 俊英)
『キャッツ』横浜公演、開幕まであと18日!
出演候補者メッセージ 〜ジェリーロラムほか〜
ニイハオ(こんにちは)、ジェリーロラム=グリドルボーン役の秋 夢子です。
(撮影:上原タカシ)
ジェリーロラムは、第一幕ではジェニエニドッツ、ラム・タム・タガーのナンバーや、
グリザベラが登場する時などにたくさん歌っています。
また、一幕の後半でも、シラバブと一緒に、グリザベラに向かって歌い、
オーブンの陰に消えます。
雌猫の中ではお姉さんに属するようです。
シラバブ、ランペルティーザ、コリコパットが近くにいることが多いので、
小さくてかわいい猫たちに慕われているのかもしれませんね。
同じ年上の猫でも、グリザベラに対するみんなの態度は正反対。
この辺りから、グリザベラが仲間はずれにされているのは、
単に「老い」が理由ではないことが伺えます。
(撮影:上原タカシ)
二幕のアスパラガスを紹介するナンバーがこの役の一番の見どころですね。
最小限の伴奏をバックに静かに歌うジェリーロラム。
転調してグリドルボーンになると、一転してチャーミングな悪女へと変わります。
小悪魔のようにくるくると変わる表情は、この役の大きな魅力です。(ちょっと自慢。。。)
ダンスの無いシーンでは比較的シラバブの近くにいることが多いかもしれません。
時々保護者のようにもふるまうことも。
マキャヴィティファイトの時もしっかりかばってあげています。
コリコパットとも仲がいいですよ(笑)。
だから、コリコパットとはよくリフトするんです。
(ダイエットしなきゃね。。。)
【横浜の一押しスポット】
私は中国出身なので、やっぱり中華街が一番おすすめですね(笑)。
日本に来たばかりの頃はよく行きました。
その頃は日本語があまり上手くしゃべれなかったので、
中華街へいくと自分の国にいるみたいに落ち着きました。
肉まんもたくさん食べましたよ。
日本のもののほうが大きいですね。
肉まんだけでなく、中国各地の中華料理や点心もいろいろあって
どれも美味しいですよ!(考えただけでも涎がでてきそう。。。)
海辺の『キャッツ』を見に来てください。
横浜のキヤノン・キャッツ・シアターでお待ちしております。
(ジェリーロラム=グリドルボーン役 秋 夢子)
『キャッツ』横浜公演、開幕まであと19日!
