プリンス・エドワード島、毎年恒例のお楽しみといえば、『赤毛のアン』のミュージカル!
日本では劇団四季が約三十年上演を続けるこの作品が、この島で初演されたのは、1965年。以来、70回近く台本を練り直し、今年3月「世界で一番長く、同じ会場で上演されているミュージカル」としてギネスブックにも記録されている。
いざ、島の中心地シャーロットタウンのコンフェデレーションセンターへ。海岸からショッピングモール、お店の並ぶストリートまで、軽く歩いて回れるこの街の真ん中にあるセンターは、演劇やコンサートのための劇場とチケットオフィス、カナダの現代アートを集めた美術館、テーマを決めた展示スペース、図書館、ギフトショップ、レストランなどがある文化の発信拠点。演劇など有料イベントのほかは、美術館などもすべて無料で楽しめる。中には"車体全体に3センチくらいの穴が無数にあいた車"カラフルなビールケースを積んだ壁'なんてアート作品もあり、「むむむ?」とうなってしまった。
センタースタッフのキャロルさんと島に暮らして二十年というガイドのマユミさんと劇場へ。1000人以上収容できる大きな劇場で、こどもたちからお年寄りまで観客の年齢層は幅広い。私の隣には、ドレスと麦わら帽子でアンになりきった七歳くらいの女の子がママと観に来ていた。キャロルさんの話では、島のほとんどの人が一度はこのミュージカルを観たことがあるという。さすが50年の歴史。
幕があく。おなじみの駅の場面で、アンとマシューが出会い、ふたりはマリラが待つグリーンゲイブルズへ。腹心の友ダイアナ、何かと対立するギルバート、ステイシー先生たちとのアンのにぎやかな学校生活。エイブリー奨学生に選ばれた喜び、そして、マシューとの別れ...。私は口下手なマシューが最後にアンに声をかける場面で、いつも泣けてしまう。
英語力がない私でも、十分楽しめるのは、長年世界中のファンを魅了してきた物語の面白さと表現の工夫、日本でも親しんだ愉快な曲のおかげ。隣の女の子は、かなりのリピーターらしく「アイスクリーム」など名曲をキャストといっしょに熱唱していた。超可愛い~。思わず隣の席に向けて拍手してしまった。ラストは、スタンディングオベーションの嵐。会場全体があったかい雰囲気に包まれた。
終演後、バックステージに案内してもらった。スタッフ通路には、過去の上演ポスターが壁一面に貼られていて、ここも美術館のよう。飛び跳ねたり、うっとりしたり。アンのポスターもいろいろある。
控室で、アン、ダイアナ、パイ夫人、リンド夫人、マシュー、キャストが衣装のまま笑顔で迎えてくれた。以下はキャストからのメッセージ。
アン(ケイティ・カー)「私はこの物語で、アンが『私自身に生まれてよかった 私でよかった』と歌う場面が一番好きです。日本のみなさんにももっともっとこのミュージカルを愛していただきたいです」
ダイアナ(ジェシカ・ギャラント)
「私はプリンス・エドワード島出身なので、この物語は自分の物語のよう。ぜひ、島にいらしてくださいね!」
マシュー(ティム・コーティング)
「こんにちは(日本語!)僕の兄は、逗子にいるので、二度日本に滞在しました。この物語はどんな世代の人にも伝わる素敵な話。僕はマシューを演じられて光栄です」
パイ夫人(グレンダ・ランドリー)
「カナダの女の子は『赤毛のアン』を読んで育ちます。日本でもたくさんの人に読まれていると聞きました。素晴らしいですね。この劇場のミュージカルでも楽しんでください」
リンド夫人(スーザン・ヘンリー)
「私はこの物語は、人々の心のひだ、人生を語っていると思います。だから何度見ても楽しい。ともに楽しみましょう!」
ギルバート(ガブリエル・アントナッチ)
「原作のギルバートの印象を壊さないように大切に演じています。日本のギルバートも気になるなあ(笑)、劇団四季の『赤毛のアン』を観たいです」
ガブリエル君に「日本の女の子は、自分だけのギルバート(理想の恋人)を探したいと思っているかも?」と伝えると、「僕にできることがあれば、なんでも言って!」とのこと。ナイスガイです。
三時間の熱演でお疲れのところ、ナイスなコメントをありがとうございました。素敵なキャストに、改めて拍手!!
3回に亘ってお届け致しました【ペリー荻野のプリンス・エドワード紀行】シリーズは今回で最終回となりました。
四季公式ホームページ内のトップ画面からも【ペリー荻野のプリンス・エドワード紀行】をまとめてお楽しみいただけます!
http://www.shiki.jp/applause/anne/special/perryogino/
『赤毛のアン』は9月28日(日)まで自由劇場(浜松町)にて上演しております!
秋の訪れとともにアンの世界に是非、浸ってみませんか?劇場でお待ちしております!