
新作ミュージカルに出演するコーラスダンサーを選ぶオーディション。
ラインに並ぶ17人は、いったいどんな人物なのか――。
ニューヨーク・ブロンクス出身のプエルトリコ人。子どもの頃は、故郷の街を逃げ出したくて仕方がなかった。演技派の舞台女優に憧れ、芸能コースがある高校に進学する。そこでの即興演技の授業で劣等生のレッテルを貼られるが、強い信念を持って舞台に立つ夢を追い続けている。
ニューヨークのハーレム・スペイン町出身のプエルトリコ人。父親の影響で、幼い頃から映画に親しみ、ミュージカルに憧れる。見た目が女性的だった彼は、次第に高校にいられなくなり退学。どうしたら男らしくなれるのかを探し、辿(たど)り着いたのは、あるショーを行う劇場だった。
砂漠の真ん中、アリゾナ州テンピ出身の20歳。幼いときはダンスに興味がなく、普通の少年だった。11歳のとき、書庫にある父親の医学専門書に夢中になる。ある日、自分の身体に起こった異変も医学書を頼りに調べていたが、そこに書かれたありえない病名に悩み苦しむことに。
アメリカ北東部ヴァーモント州アーリントン出身。18歳のときスターを夢見てニューヨークへ。ダンスは抜群だが、オーディションは全滅。理由は「ブスで、ガリで、ペチャパイ」。覚悟を決め形成外科へ飛び込み、大変身。
ミズーリ州セントルイス出身。神経質でアガリ症。最近、同じダンサーであるアルと結婚した。映画スターに憧れ、小さい頃からラジオをつけると踊り始めていた。スタイル抜群でダンスも得意だが、音痴で歌がまったくダメ。
ニューヨークのブロンクス出身。クリスティンの夫で、このオーディションにもふたりで参加。いつもあがりっぱなしの彼女を保護者のように見守り、フォローしている。かなりのオーディション経験者で、ザックとも面識あり。
ミズーリ州出身。南部の出身である彼は、男の中の男。学生時代は学校一のヒーローだった。大学も無試験の特待生として入学したほど。何でも一番だったが、就職先は幼稚園の先生だった。「渡る世間に奨学金なんてありゃしない」と嘆く。
アメリカ最南に位置し、メキシコと隣接するテキサス州エル・パソの出身。父親が失業したため、町から町へ転々としていた。陽気だが少々荒っぽい面もあり、気に入らない妹の髪を全部剃(そ)ってしまった。思春期には女の子とキスの練習をしたことも。
マサチューセッツ州ボストン出身。母親から「美人じゃなくても、個性があるから、お前はもてるわ」と言われた9歳のときから容姿にコンプレックスをもっている。誰もが美しくなれるバレエの世界に憧れていた。
ニューヨーク州の工業都市バッファロー近くの出身。一見すると上流の家庭だが、父は大企業に勤めていながらアルコール依存症に、母は悪趣味に飾り立てられた家でギャンブルに夢中。子どもの頃から異常な行動を繰り返し、派手な自殺の方法も考える。
コロラド州コロラドスプリングス出身。29歳の彼女は、年をとることを恐れている。母はダンスの才能があったが夫に止められたため、娘に自分の夢を託した。父は家庭を顧みず、彼女は冷たい家庭から逃れるように美しいバレエの世界に没頭。「稽古場こそ我が家」だった。
これまでに主役を2度務め、ショーストップも経験するほどの有名なダンサーだった。スター女優を夢見てハリウッドに飛び込むが挫折。自分にはダンスしかないと実感し、ゼロからスタートするため、再びブロードウェイに戻ってきた。演出家のザックはかつての恋人。
ニューヨークの高級街、イーストサイド出身。本名はシドニー・ケネス・ベケンシュタイン。ユダヤ名は、ロシュメル・レヴ・ベン・ヨーコフ・マイヤー・ベケンシュタイン。高校生のころ、女の子と車で抱き合ったとき、初めて自分が同性愛者だと意識する。
ニューヨークのチャイナタウン出身。幼い頃から「ちび」と言われ続け、いろいろ努力したが、まったくダメ。プリマバレリーナやチアガールにも憧れたが、いつも小さな身長がネックだった。おかげで今まで子役ひとすじ。さて、その年齢は......。
ニュージャージー州トレントン出身。イタリア系移民で大家族12人兄弟の末っ子として育つ。4歳の頃、姉のダンスレッスンを見ているうちにステップを覚えた。ある日、姉の代わりにレッスンでステップを披露して以来ダンスに夢中に。
カリフォルニア州サンフランシスコ郊外出身。彼女が生まれたとき父が母に「子はかすがいにはならんな」と言ったように、両親の仲はすでに冷えきっていた。彼女は自分だけの幻想の世界に生き、優雅で優しいバレエに憧れ、踊っていた。
牧場以外には何もないようなカンザス州カンザス出身。彼は15歳のとき、お金を稼ぐために年をサバよんでナイトクラブでアルバイトをした。そこではストリッパーの女性との恋を楽しんだが、今では2児の父親。もし踊れなくなったら、裏方としてでも舞台の仕事に携わりたいと思っている。
【演出家たち】
演出兼振付家。オーディションの審査を行う。最終選考で「履歴書に書いていないことを話してもらおう。君たちがどんな人間なのか」と問いかけ、ダンサーたちの"ありのままの姿"を探ろうとする。
ザックのアシスタントとして、オーディションの進行を担う。
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