はじめに Introduction

生きるって、生きているって、
なんて素晴らしいことなんだろう

どんなに時代が変わっても、社会がゆたかになっても失ってはいけないものがあります。
「生きる喜び」「信じ合うこころ」「思いやる気持ち」——。
『ユタと不思議な仲間たち』は、東北の農村の美しい自然を背景に、大切なものを思い出させてくれるミュージカルです。

三浦哲郎氏の同名小説を舞台化したこの物語は、東京から東北の農村にやってきた転校生ユタと、彼を見守る「座敷わらし」たちとの心の交流を描いています。

舞台写真

飢餓や凶作のため生きたくても生きられなかった子どもの精霊——「座敷わらし」。父をなくし村になじめずいじめられ「死にたくなった」とつぶやく少年ユタを、座敷わらしの一人ペドロは叱りつけます。
「ばかやろう!生きてるってことは、それはそれだけで、たいしたいいもんなんだぞ」

音楽のように美しくあたたかい日本語の方言。
「友だちはいいもんだ」をはじめとする三木たかしが生み出した名曲の数々。
心の底からじんわりあたたかい気持ちがあふれてくるこの物語は、「目には見えない大切な何か」を思い起こさせてくれます。観ればきっと生きる力がわいてくる。ぜひ、ご家族おそろいでご覧ください。