旅の途中でもらった、大きな感動――『ガンバの大冒険』佐渡公演で「鼓童」と交流【後編】

「こころの劇場」(※)として全国公演を行うファミリーミュージカル『ガンバの大冒険』。その旅の途中、カンパニーは新潟県・佐渡島を拠点に活動をする「鼓童」の研修生と交流会を開催しました。

「鼓童」とは、太鼓を中心とした音楽芸能を現代的な舞台芸術へと昇華させ、日本の伝統芸能の新たな魅力を創造し、発信するプロの芸能集団です。活動の歴史も深く、今年で創立35周年の節目を迎えられました。現在は歌舞伎役者・坂東玉三郎さんが演出を務められ、その活躍の場は、日本全国はもとより、世界49ヶ国にもおよびます。

今回カンパニーが出会ったのは、鼓童のメンバーを目指し、太鼓はもちろんのこと、舞台人、社会人として様々な経験を学んでいる研修生。四季の俳優にとっては、かつて入団を夢見てレッスンに励んでいた自分たちの姿と重ね合わせ、多くの感動をもらうひと時になりました。
>>交流会のレポート(前編)はこちら

交流会翌日の10月31日、鼓童の研修生の皆さんが、『ガンバの大冒険』佐渡公演が行われる会場「佐渡中央文化会館」に来場。舞台の設営をお手伝いいただきました「研修生たちの良い経験になると思います。ぜひ、色々と教えてあげてください」と、話すのは研修所所長の石原泰彦さん。研修生の皆さんも「お祭りのステージなどで設営することはあっても、ここまで大がかりなセットは初めて」と熱心に取り組んでくださいました。
またこの日、「劇団四季の発声方法を、教えてもらいたい」というリクエストにお応えし、俳優から四季の方法論である母音法や呼吸法をレクチャーするひと幕も。

そして翌日11月1日、いよいよ「こころの劇場」公演の日。佐渡島に住む全小学5、6年生を招待したこの公演には、24校約900名の児童が来場。子どもたちが笑い、食い入るように物語を楽しんでいるその後方から、研修生の皆さんもご見学。真剣な眼差しで、また涙をぬぐいながら、鑑賞されていました。

3日間にわたる交流について、研修生の皆さんにお話を伺ったところ、「四季の俳優・スタッフの皆さんの言葉や行動から、自分の仕事に誇りを持っていることが伝わり、本番の舞台ではまさに一つになっていた。大切なことを勉強させてもらいました」(神奈川県出身・三枝晴太さん 19歳)。「交流会では皆さん気さくで、親しくお話しができましたが、リハーサルではガラリと雰囲気が変わり、プロの姿勢を学びました。毎日変わらないエネルギーで舞台を務めるのは本当に大変なことだと思います」(東京都出身・渡辺ちひろさん 19歳)と、何とも嬉しいコメントを寄せてくださいました。

短いながらも濃厚な交流を図った「四季」と「鼓童」―双方にとって、この3日間は忘れがたいものとなったことでしょう。この感動を携えて、『ガンバの大冒険』カンパニーはこれからも旅を続けます。

(※) 「こころの劇場」とは、全国の小学生を劇場へ招待するプロジェクト。多くの企業・行政のご協力を得て運営し、2015年度は56万人を無料で劇場に招待しました。
>>「こころの劇場」ページ

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    佐渡島に住むすべての小学5、6年生を招待する『ガンバの大冒険』「こころの劇場」佐渡公演準備のため、19名の鼓童研修生に舞台設営をお手伝いいただきました。

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    トラックから舞台へと道具を運ぶ研修生。

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    舞台で使われる幕を、みんなでバトンに結びつけます。

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    女性たちも舞台設営に参加。てきぱきと照明器具を運び入れます。

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    幕を吊ったバトンを上げるため、スタッフと一緒に綱を引く研修生。

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    舞台監督と一緒に。スタッフもていねいに教え、一緒に設営を行います。

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    束の間の休憩時間にも舞台を一生懸命眺める研修生の皆さんに、スタッフが舞台の仕組みをレクチャー。

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    昨日の交流会では、研修生が鼓童研修施設を案内してくださいました。今度は俳優たちが楽屋を案内。衣裳の説明しているのは、高野佳基(アンサンブル)。

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    交流会でお土産にいただいた、佐渡の特産品の柿。これも研修生の皆さんが収穫したもの。カンパニーで食べようとせっせと皮をむいていた小林 唯(ガンバ役)。熊本梨沙(潮路役)も隣でお手伝い。

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    設営した舞台が完成すると、リハーサルを始めます。

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    リハーサルを見学する研修生の皆さん。食い入るように舞台を見つめます。

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    劇団四季の呼吸法をレクチャーする、池田英治(ガクシャ役)、小林 唯(ガンバ役)、小林英恵(マンプク役)。

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    どのように呼吸をとっているのかを、お腹を触って確認してもらいます。手本をみせるのは、長橋礼佳(イカサマ役)。

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    質疑応答の様子。「本番に向けて身体と気持ちをどのように整えるんですか?」「俳優という仕事を全うしている皆さんの、今の夢や目標とは?」など多くの質問が投げかけられました。

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    佐渡の小学生が来場。研修生の皆さんには案内役としてサポートしていただきました。

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    劇場を出る俳優たちと、お互いに名残惜しむように握手でお別れ。「涙が出そう…」、「手紙を書くね」と抱き合う姿も。

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    翌朝、フェリーで佐渡を出発するカンパニーにサプライズが…。船に乗り、デッキに出ると、太鼓を叩く研修生の皆さんの姿が。「ありがとうございましたー!」と叫びながら太鼓を打ち鳴らし、お見送りをしてくださいました。

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    驚き、目に涙を浮かべる俳優・スタッフたち。「がんばってねー!!」と、鼓童の皆さんの姿が見えなくなるまで、高々と手を振っていました。

  • 旅の途中でもらった、大きな感動――『ガンバの大冒険』佐渡公演で「鼓童」と交流【後編】

    鼓童の皆さんからパワーをいただいたカンパニー。この感動をエネルギーに変えて、これからも旅を続けます。