春の季節が終わりに近づき、緑の葉が鮮やかに色づき始めた4月下旬。劇団四季の拠点・四季芸術センター(横浜市・あざみ野)にて、6月に開幕を控えた『エクウス』のプレ稽古が行われました。
「きりで馬の目をつぶしたの、6頭も。ひと晩のうちに」
裁判長のヘスターが精神科医ダイサートを頼り、連れてきたのは、まだあどけなさが残る17歳の少年アラン。"なぜこの少年がそのような残虐な事件を起こしたのか"――。心を閉ざしたまま、コマーシャルソングを繰り返し歌うだけの彼の心を解き、事件の真相を紐解いてゆくダイサート。
そこに少しずつ見えてくる、少年の、馬への純粋な愛。彼をとりまく家庭環境。思春期に訪れた性への目覚め。事件の鍵を握る女性、ジルとの出会い......。
少年の叫びと悲しみを通して社会問題に鋭く切り込んだ本作は、英国劇作家ピーター・シェーファーが実際に起きた事件から想を得た作品です。
今回、5年ぶりの再演に向けて主人公アランと、ジルのキャストはオーディションによって選出。生粋のストレートプレイ(台詞劇)への出演に意欲を燃やした、約30名の若い俳優らがオーディションに挑んでいました。
プレ稽古には、メインキャストらが一堂に会し、台本の読み合わせを実施。アラン役に挑む俳優の正面には、95年に同役を務めた加藤敬二が着席し、アドバイスを送ります。
「演じる必要はない。周りの人たちの言葉をよく聞いて。彼らの言葉から自分の心情がどのように動くのか――今はそれを確かめる時間です」
「この台本の1ページは、アランが心を開く大事な場面。勇気をもってしゃべって」
"言葉の格闘技"ならぬスピーディな台詞の応酬と、巧みな場面転換。また本作は舞台上にも客席が設けられ、360度人々の視線に囲まれながら演じるという独特な空間のなかで物語が展開されます。
美しく繊細でありながら、強烈な衝撃を与える『エクウス』。6月26日から約2週間の限定公演です。どうぞお見逃しなく!
<『エクウス』東京公演 出演候補者> |
ダイサート・・・・・味方隆司 アラン・・・・・・・横井 漱 フランク・・・・・・志村 要 ドーラ・・・・・・・大橋伸予 ヘスター・・・・・・中野今日子 ダルトン・・・・・・星野元信 ジル・・・・・・・・松山育恵 ナジェット・・・・・金久 烈 看護婦・・・・・・・小澤真琴 馬たち・・・・・・・坂本 剛 平山信二 佐久間 仁 光田健一 東 泰久 |
<『エクウス』舞台模型展示のご案内> |
4月29日(金・祝)より、東京・四季劇場[春]・[秋]の共通ロビー(クローク前)にて『エクウス』の舞台模型を展示いたします。 円形舞台に沿って配置されたベンチ式のステージシート(客席)。その中に佇むスクエア(四角い演技空間)。この異色の舞台空間が、ドラマを鮮烈な印象へと導きます。 劇場にお越しの際は、ぜひご覧ください。 ※ 模型は5月10日(火)より電通四季劇場[海]ロビーに移設いたします。 |