5月初めのある日の早朝。『エクウス』の出演候補者らが役づくりや作品の知識を深めるため、神奈川県内にある厩舎(きゅうしゃ※馬小屋)に赴き、掃除や乗馬体験をしました。
「おれは馬の背に押しあげられた。馬の首すじの汗がおれの足につたわってきた。・・・あたたかいわき腹、そしてあの匂い・・・」
(劇中のアランの台詞より)
「エクウス」とは、ラテン語で"馬"の意。物語のなかで馬は重要な役割を担い、独創的でシンボリックな形容で登場します。
その馬に魅せられ、崇敬し、厩舎で働く少年アラン。彼の台詞のなかには、馬の姿形や躍動感を表す言葉が連ねられ、生々しい美しさをもって表現されるのです。
またパントマイムのようにして首筋から尻尾にかけてブラシでマッサージをする場面も。
その数々の台詞や仕草をより現実的で具体的にするため、出演候補者らが実体験のため馬小屋へと向かったのです。今回俳優らがお世話になったのは、慶応義塾大学の馬術部が保有する厩舎。この日はアラン役・横井 漱、ジル役・松山育恵、ダルトン役・星野元信、ナジェット役・金久 烈、馬役の一人・坂本 剛の5名が、場面に関わる厩舎の掃除から餌やり、ブラッシング、乗馬などを体験しました。
まずは馬と触れ合う基本的な挨拶から、小屋掃除をする際の道具の使い方ややり方を熱心に教わる俳優たち。乗馬の際は「『馬はいつも左側から乗るんだ』という台詞があるのですが、それは本当?」など質問を投げかけながら、知識を深めていました。
深く敬愛していた馬を、自らの手でむごたらしく傷つけてしまう、少年アランの悲しみとは・・・。物語が真実に辿りつき、少年の心の痛みが明らかになる頃、観客に深く問いかけるのです。果たして異常なのは少年なのか、それとも――。
開幕は6月26日(日)。自由劇場で2週間限定の公演です。どうぞお見逃しなく!
体験・取材協力:慶應義塾體育會馬術部の皆さま