『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ご観劇の声

※「四季の会」会報誌「ラ・アルプ」2025年6、7月号掲載

  • 原作映画 吹替版
    キャストの方々より
  • 各社新聞
    掲載された劇評
  • テレビ朝日版・マーティ役 三ツ矢雄二さん(声優・マルチクリエイター)

    「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がミュージカルになると言う第一報を聞いた時、狂喜乱舞しました。もちろん行きましたよ、ニューヨーク・ブロードウェイ。そして、大熱狂の大興奮。あまりに面白かったので、2回も観ちゃいました。とにかく、あの奇想天外の映画が、そっくり舞台になっている!しかもミュージカル!観客もノリノリで、今まで、数多くのミュージカルを観てきましたが、こんな大エンターテインメントは滅多に無かった。面白さは太鼓判をおします。その『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が、日本でも観られる!そして観ました。またまた大熱狂の大興奮!誰もが楽しめること請け合いです。あのデロリアンが、あの大時計台が……、とにかくビックリして、その舞台演出に驚きますよ。百聞は一見にしかず。ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』東京公演、絶対観てください!ミュージカル・ナンバーも最高に楽しめます。カーテン・コールまで、あっという間です。ああ、もう一度観たい!!

    BSジャパン版・マーティ役 宮川一郎太さん(俳優)

    ワクワクドキドキ、素晴らしい舞台だった。
    劇団四季版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は幕が上がる前から、場内はまさにSFの世界。ボルテージはいやが上にも上がっていく。
    もちろん不安もある。「BTTF」のミュージカル化……どうなんだろう。芝居でタイムスリップはできても、デロリアンのあのスピード感はどうやって再現するんだ!?また結末を知っている作品ほど、改めて魅了することは難しい。はたして……。
    しかし、ミュージカル『BTTF』はすべての心配を軽々と超えて来た。
    テンポの良い展開に、四季ならではの歌とダンス。幕が上がると同時に惹き込まれる。そしてデロリアン!まさかこんなやり方があったとは。僕は今、舞台を観てるんだよね!?思わず自問してしまう大迫力!!
    最後に、映画のキャラをリスペクトした役者さんたちにも拍手を送りたい。舞台上にはマーティが、ドクが、ジョージが、ロレインが。確かにそこに、はっきりと彼らがいた。
    最高にヘヴィな作品をありがとう!!

    ソフト版・マーティ役 / BSジャパン版、
    日本テレビ版・ドク役 山寺宏一さん(声優)

    映画の吹き替えを3度体験した僕にとって「BTTF」は特別な作品です。
    ミュージカルが大評判と聞き人生初となるNYブロードウェイへ。想像を遥かに超えた楽しさに興奮しました。しかし残念ながら英語が分からない。映画のストーリーは全部頭に入ってますが、よりコメディー色が強くなり、マーティとドクの掛け合いが舞台版の見どころの一つ。客席の大爆笑についていけず若干悔しい思いをしました。
    そこへ劇団四季さんが上演するというニュースが!幸運にもプレビュー公演にご招待いただきました。もう何もかもが最高!「BTTF」はそもそもミュージカル化を見越して作られたと感じるほどです。
    楽しすぎるミュージカルナンバーの数々。舞台では再現不可能と思われるデロリアンの走行や時計台のシーンの演出。見事な歌唱力と演技でハマりまくりの俳優陣。最初から最後までワクワクしっぱなしでした。
    映画の生みの親ロバート・ゼメキスさん、ボブ・ゲイルさん、アラン・シルヴェストリさんがミュージカル化、そして日本公演にも直接関わっていたとは!今作のプログラムを読んで初めて知りました。そりゃ映画のファンも納得のはずです。いや映画ファンだけではなく、「BTTF」を知らない人も、ミュージカルや舞台に興味のなかった方も、誰もが楽しめる最高のエンターテインメントだと思います。

  • 「なせば成る」の解放感 広瀬 登さん(毎日新聞学芸部記者)
     毎日新聞(夕刊) 2025年4月10日付

    人気ハリウッド映画のミュージカル化。ロンドンやニューヨークで評判の舞台が日本初上陸した。特殊効果をふんだんに使いながらも原作映画のエッセンスは大切に。万全の歌唱と緻密な芝居、そこへ音響や映像、照明や装置など高い技術力が加わり、劇団四季にしか成し得ない極上のエンターテインメント作品に仕上がった。
    さえない高校生マーティが、友人である変人科学者ドクのタイムマシン「デロリアン」で30年前へ誤ってタイムスリップ、過去のドクの力を借りながら元の世界に戻ろうとするおなじみのストーリー。
    まずは劇場で驚いてもらいたいので詳述は避けるが、リアルに造形されたデロリアンが時空を移動する様は、掛け値無しに見どころの一つ。天井や壁に張り巡らされた電飾のまばゆい明滅も相まって、観客は今はやりのイマーシブな(没入感のある)体験に浸ることができる。
    もちろん、ミュージカルならではの魅力もふんだんに盛り込まれる。中でも、タイムスリップした1955年を反映し、古き良きミュージカルをパロディーしたかのようなシーンが楽しい。ドクにひらめきがもたらされると、たちまちダンサーたちが登場しレビューショーが始まる。演劇バージョンだからこその創意が光る。
    そして何よりも作中を貫く「何事もなせば成る」というメッセージがいい。映画が誕生した85年には存在した果てしない楽観性。そんな希望あふれる精神を、マーティ役の立崇なおと、ドク役の野中万寿夫はじめキャスト全員が劇団四季らしい人生への100%の肯定度をもって体現する。明日はまだ変えられる。社会に閉塞(へいそく)感が漂う今日このごろ、見る者の心を大きく解放させる痛快舞台だ。
    JR東日本四季劇場「秋」(東京・竹芝)でロングラン公演中

    ※毎日新聞社提供

    人間賛歌のテーマ 明確に 萩尾 瞳さん(映画演劇評論家)
     朝日新聞(夕刊) 2025年5月8日付

    40年前の公開作なのに今も熱い支持層を持つSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がミュージカルになった。英国発のこの舞台版は、R・ゼメキス監督ら原作映画スタッフまで関わったこともあってか、映画ファンにもミュージカル・ファンにも違和感なく受け入れられそうな仕上がりだ。
    1985年、米国カリフォルニアのある町。冴(さ)えない高校生マーティ(立崇なおとほか)は、変わり者の科学者ドク(野中万寿夫ほか)が発明したタイムマシン・カー「デロリアン」で1955年にワープしてしまう。ディテールのアップデートやカットもあるが、映画通りの展開。
    驚きは、デロリアンが時空を超える場面。本物の車とプロジェクション・マッピングが一体化したイリュージョン(C・フィッシャー)に、照明や音響が疾走感をいや増す。劇場の壁や天井に設(しつら)えられたLED光もシンクロし、観客を巻き込む没入型アトラクションの楽しさもある。
    一方で、この作品、王道のミュージカル・コメディーなのである。過去での奮闘が未来を変える流れ自体は同じでも、家族再生ドラマの輪郭は映画よりくっきり。マーティが歌う「なせば成る」が軸となり、ドクのナンバー「夢、追いかけよう」がそれを補強して、人間賛歌のテーマが明確に浮かぶ。
    映画主題歌を使い高揚感を呼ぶかと思えば、素晴らしい未来への期待を歌う「21世紀」では現実とのギャップを観客に思わせたり。と、楽曲(A・シルヴェストリ、G・バラード作詞・作曲)の構成も心にくい。ミュージカル・コメディーお約束の「突如出現する群舞」をパロディー的に使うなど、遊び心溢(あふ)れる演出(J・ランド)が舞台を弾ませる。
    東京・浜松町の四季劇場「秋」で上演中。[一部抜粋]

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