少し照れくさそうにカメラの前に立つ町田兼一。『アラジン』のイアーゴや『カモメに飛ぶことを教えた猫』のマチアスなど、ひとくせある役の印象が強いせいだろうか。物静かな語り口も意外に思える。「普段はこんな感じです(笑)」と語る声は、よく響く印象的なテノールだ。劇団四季との出会いは中学生の時に観た『美女と野獣』だった。
「当時住んでいた家の大家さんからチケットをいただいて、赤坂ミュージカル劇場に行きました。初めて観た四季の舞台はとにかくすごい!の一言でした。何より俳優の方たちのエネルギーに、みんながこの瞬間を一緒に楽しんで笑顔になっていることに感動して。同時にこんなすごい仕事があるのかと思った出来事でした」
少年時代は「おとなしくて全然喋(しゃべ)れなくて、引っ込み思案」だったという。