出演者たちの狂喜乱舞がなければ、大型シネ・ミュージカルらしい豪華絢爛(けんらん)たる場面は誕生しないんだな――見ながら久しぶりに懐しい四文字熟語が、フラッシュ・ライトのように点滅した。歌よし、ダンスよし、ダブル・ヒロインを中心とした物語もスムーズに進行するわで、私はいつの間にやら完全に作品のとりこになっていた。
アメリカ産のミュージカル映画でこういう体験をするのは随分久しぶりのことではないか。『ウィキッド ふたりの魔女』である。原作が劇団四季が日本版を上演してきたブロードウェイの超ヒット作『ウィキッド』なのは、今更、断わるまでもない。
ふたりの魔女はエルファバにシンシア・エリヴォ、グリンダにアリアナ・グランデというこれ以上ない適役の女優が顔をそろえた。