映画『ウィキッド ふたりの魔女』を観て、舞台、映画を通し、このミュージカルの土性骨はスティーヴン・シュワルツ作詞・作曲の楽曲にあるなと改めて納得がいった。映像でさまざまな"遊び"が繰り広げられようと、その遊びが上滑りせず、私たちの胸にきちんと届き、たっぷり心揺さぶられるのは、常に画面に響く優れた楽曲あらばこそ――そう確信せずにいられなかったのだ。
すでに前回、私は目を瞠(みは)るフライングが繰り広げられる最終場面は絶讃の拍手を贈っている。
「第一流の俳優たちの演技と最新テクノロジーの合体による窮極のファンタジー」だと。今回、あえて付け加えるとするならば、その「窮極のファンタジー」を裏でがっちり支えるシュワルツの音楽を絶対に聴き逃してはなりませんよ、という一行である。