11月23日(日・祝)、東京・自由劇場にて7年ぶりに幕を開ける『恋におちたシェイクスピア』。
9月中旬、横浜市あざみ野の四季芸術センターにて開幕に向けた稽古が始まりました。
若きシェイクスピアの恋物語を中心に、フィクションと事実が巧妙に織りなすストーリーを、美しい台詞の数々で紡ぐストレートプレイ。
アカデミー賞7部門を受賞した同名映画をもとに、2014年にイギリス・ウェストエンドで初演された本作。劇団四季では2018年、ロンドン版とは異なるオリジナル演出で初演されました。
待望の再演となる今回の東京公演。
全体での稽古初日となったこの日の稽古場には、台本の翻訳を手掛けた松岡和子氏、演出を担う青木豪氏、作曲・音楽監督を務める笠松泰洋氏をはじめとした初演から本作に携わるクリエイターたちが揃います。

翻訳を手掛けた松岡和子氏(左)と演出を担う青木豪氏(右)
稽古開始前、青木さんがカンパニーに向けて語ります。
「この作品のテーマは、"人を愛する喜び"そして"演劇ができる歓び"です。この物語の背景には、疫病の流行があります。疫病によって閉ざされていた劇場が再び開き、『演劇ができる』という歓びにあふれる――初演から7年、コロナ禍を経た今、この気持ちを全員が共有できると思います。
今回の公演は、深く、新しく、そして軽やかにいきたい。僕がこれまで四季の芝居から得てきたものを、次の世代の俳優、観客に渡したいと思っています。千秋楽までいっしょにすてきな芝居を届けていきましょう」
そして行われた台本の読み合わせ稽古。
今回この作品に挑む俳優たちは、出演経験者から、オーディションを経て初出演を目指すフレッシュな顔ぶれまで様々。それぞれが紡ぐ台詞を互いに新鮮に受け取り、楽しみながらも挑戦しようとする姿からは、この作品に参加できる喜びも感じられます。
初めての稽古を終えると、松岡さんが感想を話されました。
「稽古を拝見してあらためて気づかされたことがあります。それは、"世界で初めて『ロミオとジュリエット』を観た人たちがいたんだ"という事実です。今、皆さんの声で綴られたこの物語を聴いて、その瞬間に立ち会ったかのような思いがしました。その瞬間を演じるというのは、すごいことだと思います。
シェイクスピアは人を肯定する作家だと思っています。悪人も登場しますが、すべてをひっくるめて肯定している。この作品は、その肯定する力が土台にある演劇賛歌なのだと思います。いろいろなことを感じさせていただき、うれしかったです」 温かい言葉を深く心に刻み、カンパニーは新たな一歩を踏み出しました。
東京公演は11月23日(日・祝)から2026年2月8日(日)までの期間限定。その後、4月から京都劇場での上演も決定しています。
演劇への愛と祈りにあふれ、生きる歓びに満たされる人間ドラマに、どうぞご期待ください。