全国各地の子どもたちに演劇の感動を届けたいという想いが込められた「こころの劇場」。
8月中旬、『はじまりの樹の神話~こそあどの森の物語~』カンパニーはツアー最北端の公演地、北海道・利尻島を訪れました。
子どもたちの心に、「生命の大切さ」「人を思いやる心」「信じあう喜び」など生きていくうえで大切なことを、舞台を通じて語りかけたい――。そうした願いを込めて、一般財団法人舞台芸術センターと劇団四季が主催する「こころの劇場」は、日本全国の子どもたちを劇場に無料招待しています。「北は北海道・利尻島から南は沖縄県・石垣島まで」を合言葉に、全国各地で上演を展開している本プロジェクト。ファミリーミュージカル『はじまりの樹の神話~こそあどの森の物語~』も、本年度の「こころの劇場」上演作品の一つとして、4月より全国を巡演しています。
利尻島での初公演は、2004年の『桃次郎の冒険』まで遡ります。劇団四季の舞台を島の子どもたちに見せたいという当時の利尻町長の強い思いから実現し、以来地元のたくさんの方々と協力しながら公演を重ねてきました。2008年からは「こころの劇場」としてさらに上演を重ね、今年度で18回目の公演となります。
8月18日(火)、カンパニーはフェリーで稚内を出発し、日本最北端の公演地である利尻島に到着しました。鴛泊(おしどまり)港では、利尻町役場の皆様が大きな歓迎の横断幕を掲げて迎えてくださり、船上の俳優たちも大きく手を振ってその温かな心遣いに応える姿が。下船後は、停泊するフェリーを背景に笑顔で記念撮影を行い、心躍る交流のひと時となりました。
翌日は、カンパニーを代表して俳優の鈴本務、竹内一樹、石村知幸の3名が一般財団法人舞台芸術センター・喜田哲弘代表理事とともに、利尻富士町役場および利尻町役場を表敬訪問。両町の町長、教育長の皆様とお話しする機会をいただきました。雄大な自然や名産など、利尻島ならではの話題で盛り上がるとともに、「島の子どもたちが舞台を楽しみに待っています」という温かな激励の言葉をいただき、俳優たちは本番へ向けてますます身が引き締まった様子。
20日(木)、会場の「利尻町交流促進施設どんと」では、早朝から舞台仕込みがスタート。客席の設置や受付の設営作業には、利尻町役場の職員の皆様がご協力くださいました。夕方からは現場リハーサルを行い、子どもたちを迎え入れるために会場を万全に整えます。
公演当日の21日(金)。利尻町と利尻富士町より、小・中学生から高校生までの児童・生徒たちが続々と会場へやってきました。開場中は、手渡されたリーフレットを興味津々に読み込む姿も見え、期待に胸を膨らませている様子がうかがえます。
幕が開くと客席は一気に"大昔"の時代へ。恐ろしい「リュウ」の怒りを鎮めようと、村の住人たちが巨大な樹に祈りを捧(ささ)げる、緊迫感あふれる場面から始まります。やがて場面が変わると、そこは現代の「こそあどの森」。ひとり静かに暮らす少年・スキッパーのもとに、光るしっぽを持つ不思議なキツネ・ホタルギツネが現れたことをきっかけに、物語が大きく動き出し......。
個性きらめく登場人物たちが織りなす、人と人との「つながり」の大切さを描いた本作。上演中の客席は深い集中と感動に包まれ、その結末を見届けるとカーテンコールではひときわ大きな拍手が起こりました。終演後のロビーでは、子どもたちがお見送りをする俳優たちに「おもしろかった!」「来てくれてありがとう!」と目を輝かせて声をかける姿が見られ、お客様と演劇の感動を互いに分かち合えたことを実感する貴重な日となりました。
これからもご支援くださる皆様と手を携えながら、全国各地の子どもたちに観劇の輪を広げてまいります。

