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コラム

『王様の耳はロバの耳』東京公演に向けて――稽古が進んでいます

時代を超えて愛され続けるファミリーミュージカル『王様の耳はロバの耳』が、7月31日(金)自由劇場で開幕します。

本作は、「言葉の錬金術師」と謳(うた)われる詩人・寺山修司が台本を手掛け、いずみたくが作曲を担当。わがままで乱暴な王様の耳が「ロバの耳である」という秘密を知ってしまい、それを誰にも言えずにひとり思い悩む床屋。しかし、森の精たちに励まされ、"本当のこと"を言うために勇気を振り絞ろうと決意します。「本当のことを言う勇気」という普遍的なテーマをユーモアと豊かな音楽で包み込んだ名作の開幕を目前に控え、熱気に満ちた稽古場の様子をお届けします。

台本の読み合わせ、ステージングを経て、6月下旬にはいくつかのシーンを区切って繰り返す「小返し稽古」の段階へ。心地よい緊張感が漂う稽古場では、一シーンずつ真摯(しんし)にブラッシュアップし続ける俳優たちの姿がありました。
本作の魅力のひとつは、登場人物たちが織り成す絶妙な言葉の掛け合い。レジデント・ディレクターの布施陽由からは、「勢いではなく言葉の内容で惹(ひ)きつけてください」と熱い声がかかります。寺山ならではの詩的で美しい文体の面白さ、言葉が持つ重みを深く追求するよう丁寧なアプローチが重ねられ、台詞のニュアンスや間の取り方に至るまで徹底的に神経を研ぎ澄ませていきます。
また、2幕冒頭、町の人たちが王様の噂(うわさ)話をするシーンでは、同じくレジデント・ディレクターの羽鳥三実広から「普通の噂話ではなく、"絶対に人に言えないことを知った時"の『ヒソヒソ』に」と、より深い表現にするための細やかな指摘が。実演を交えた熱いレクチャーを経て、観客をも秘密の渦に巻き込むような臨場感が生まれていきました。
もちろん、シリアスな緊張感だけではありません。いずみたくの手による、耳に残る印象的なナンバーが物語をリズミカルに繋(つな)ぎます。王様の言いなりでありながらどこか憎めない大臣たちが登場するシーンでは、ユーモアたっぷりのやりとりに笑い声が響く一幕も。作品の持つエンターテインメント性を確実に押し上げるため、妥協なき稽古が重ねられていました。

『王様の耳はロバの耳』東京公演は7月31日(金)から8月30日(日)までの期間限定。また東京に続いて、9月20日(日)からは全国ツアー公演がスタートします。
「本当のことを言う勇気」は、純粋な子どもたちの心に響くだけでなく、大人の胸にも鋭く温かく語りかけてきます。この夏はぜひ自由劇場で、劇場全体が一体となる感動の瞬間をご体感ください。

(撮影:阿部章仁)

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